男性が注意したい病気の1つに前立腺がんがあります。前立腺がんは男性特有のがんで、自覚症状が出にくく、気付かないまま進行しやすいことが特徴です。
前立腺がんを発見して治療するには検査が必要です。「前立腺がんの検査方法はどのような種類があるか」「検査費用はいくらくらいか」が気になる方も多いのではないでしょうか。
今回は前立腺がんとはどのような病気かを解説したうえで、前立腺がんの検査方法と費用、早期発見するための対策を紹介します。
前立腺がんとは
前立腺がんとは、男性のみにある「前立腺」という生殖器に発生するがんです。前立腺は女性にはないため、前立腺がんは男性特有のがんとして知られています。
前立腺は膀胱のすぐ下、尿道を囲む位置にあり、大きさはクルミや栗の実程度です。精液成分の一部である前立腺液を作る役割があり、男性の生殖機能に大きくかかわっています。
前立腺がんは発生のメカニズムが明らかになっていないものの、前立腺の細胞が異常増殖をしてしまうことで起こるがんです。前立腺がんが進行すると排尿機能が低下したり、骨転移によって全身の痛みを引き起こしたりするおそれがあります。
しかし、前立腺がんは一般的に進行が遅く、適切な治療によって生命への影響も低く抑えられることが特徴です。検査で前立腺がんを早期発見・治療できれば完治を目指せます。
前立腺がんになりやすい人の6つの特徴
前立腺がんになりやすいのは、以下のような特徴がある人です。
- 年齢が50歳以上である
- 前立腺がんの家族歴がある
- 高脂質な食事が多い
- 運動不足である
- 過度な飲酒や喫煙の習慣がある
- メタボリックシンドロームや肥満症である
特に年齢と家族歴は、前立腺がんの主なリスク要因です。
加齢がリスク要因になる理由は、前立腺がんの発生に男性ホルモンが関係するとされているためです。男性ホルモンであるテストステロンは50歳を超えると分泌量が低下し、ホルモンバランスの乱れが前立腺がんの罹患につながると考えられています。
また、前立腺がんは遺伝的要因が発生に関係しやすいがんです。「両親・兄弟・子ども」に前立腺がん患者がいる場合、前立腺がんの罹患リスクは約2.46~5.6倍も高まるというデータもあります。
東京泌尿器科医会:前立腺がんの遺伝
年齢が50歳を超えていて、父親や兄弟に前立腺がん患者がいる方は、前立腺がんの罹患リスクが高いため注意してください。
前立腺がんの症状
前立腺がんは早期には自覚症状が出にくいものの、排尿にかかわる症状があらわれることもあります。
ただし、3つの症状は同じ前立腺で発生する「前立腺肥大症」にも見られる症状です。自覚症状だけでは前立腺がんを発症しているかどうかの判断は難しいといえます。
前立腺がんが進行すると、頻尿などのほかにも目立つ症状があらわれるようになります。前立腺がんの発症・進行が気になる方は、以下で紹介する3つの症状があらわれていないかを確認しましょう。
血尿
血尿は、尿に血が混じって赤色やピンク色になる症状です。
前立腺がんの発生初期は、血尿が見られることは多くありません。しかし、前立腺がんが進行すると尿道や膀胱の組織にがんが浸潤し、血尿を引き起こす可能性があります。
また、健康診断や人間ドックで尿潜血の陽性反応が出ている方も注意してください。
尿潜血とは、目視では分からない微量の血液成分が尿中に混じっている状態です。尿潜血の原因には激しい運動や体調不良も考えられるものの、稀に前立腺がんなどの泌尿器系疾患が原因になっているケースがあります。
血尿を確認したときや、尿潜血が陽性だと言われたときは、念のために前立腺がんの検査を受けることがおすすめです。
排尿にともなう痛み
前立腺がんが進行すると排尿にともなう痛み(排尿痛)を感じるケースがあります。前立腺がんの症状である排尿痛は、大きくなったがんが尿道や膀胱を圧迫することが原因です。
排尿痛があらわれた場合は、前立腺がんがかなり進行している可能性があります。排尿痛は膀胱炎や尿路結石といった泌尿器疾患も原因として考えられるものの、他にも気になる症状があるときは検査を受けてみてください。
腰痛
日常的に起こりやすい腰痛も、前立腺がんの症状としてあらわれることがあります。
前立腺がんが進行すると腰痛が起こる理由は、前立腺がんは骨に転移しやすい特徴があるためです。前立腺の周囲にある骨盤や腰椎にがんが転移すると、転移部位で大きくなったがんが神経や血管を圧迫して腰の痛みを生じます。
前立腺がんを原因とする腰痛には、腰痛の治療やマッサージを行っても痛みが改善しない、もしくは悪化するという特徴があります。泌尿器系の症状のほかに、慢性的な腰痛に悩まされている方は、前立腺がんの検査を受けたほうがよいでしょう。
前立腺がんの検査方法
前立腺がんのリスクが高く、血尿や排尿痛といった症状があらわれている方は、前立腺がんに罹患している可能性があります。前立腺がんを早期発見するには、適切な検査を受けることが必要です。
前立腺がんの検査方法は、がんの可能性を調べる一次スクリーニングと、精密検査である二次スクリーニング、がんの有無を確定する確定診断の3段階に分けられます。各段階で行う検査は以下の4つです。
| 一次スクリーニング | PSA検査 |
| 二次スクリーニング | 直腸診 画像検査 |
| 確定診断 | 前立腺生検 |
ここでは、前立腺がんの4つの検査方法を分かりやすく説明します。
PSA検査
PSA検査とは、前立腺がんの腫瘍マーカーである「PSA(前立腺特異抗原)」の血中濃度を調べる検査方法です。
PSAは前立腺から精液中に分泌されるタンパク質で、血液中にも微量ながら流出しています。前立腺がん・前立腺肥大症・前立腺炎に罹患している場合はPSAの血中濃度が高くなるため、PSA値を調べれば前立腺に異常が発生しているかどうかが分かる仕組みです。
PSA値は基本的に4.0ng/mL以下が正常、4.1ng/mL~10ng/mLはグレーゾーン、10.1ng/mL以上はがんの可能性が高いとされています。
しかし、PSA値が低ければ前立腺がんではないと断言はできません。PSA値は高いほど前立腺がんの可能性が高いことを示すだけであり、4.0ng/mL以下であっても前立腺がんに罹患しているケースはあります。
直腸診
直腸診とは、医師が肛門から指を入れて、前立腺を触診して調べる検査です。前立腺の背部は直腸と隣接していて、直腸の壁越しに前立腺に触れて状態を確認できます。
触診によって前立腺の表面が硬くなっていたり、凹凸ができていたりする場合は前立腺がんの可能性があります。
ただし、前立腺がんの発生初期でがんが小さかったり、発生部位が前立腺の内部だったりする場合は、直腸診では異常を発見できない可能性があります。前立腺がんの早期発見には、より精度の高い検査方法である画像検査が必要です。
画像検査
画像検査とは、超音波やX線などを用いて身体内部を画像化し、臓器の健康状態やがんの有無、他臓器への転移を調べる検査です。身体の表面からでは見えない前立腺を撮影できるため、直腸診よりも高い精度で前立腺がんを検出できるメリットがあります。
前立腺がんで行われる主な画像検査は、超音波検査・MRI検査・CT検査・骨シンチグラフィの4つです。
超音波検査
超音波検査は、超音波プローブを肛門から挿入して前立腺の状態を調べる検査です。比較的簡単な検査で前立腺の大きさや形状を正確に調べられて、がんの有無もある程度分かります。
MRI検査
MRI検査は、磁気を用いて全身を撮影し、さまざまな角度の断面画像から疾患部位を調べる検査方法です。前立腺がんのMRI検査はがんの疑いがある部位を詳細に調べられるだけでなく、がんのある正確な位置や周囲への浸潤、転移の有無なども確認できます。
CT検査
CT検査は、X線を用いて身体内部の断面画像を描出する検査です。CT検査そのものは前立腺がんの発見には向いていないものの、リンパ節や他臓器へのがんの転移を調べる目的で行う場合があります。
骨シンチグラフィ
骨シンチグラフィは、骨組織に集まる放射性薬剤を注射し、薬剤から放出されるガンマ線を撮影することで全身の骨の状態を調べる検査です。前立腺がんは骨に転移しやすいがんであるため、病期(ステージ)の診断に役立ちます。
前立腺生検
PSA検査や直腸診、画像検査などを行ったうえで前立腺がんの疑いがある場合は、確定診断のために前立腺生検を行います。
前立腺生検とは、前立腺の組織を採取して顕微鏡で観察し、がんの有無と悪性度を調べる検査方法です。肛門から入れた超音波プローブで前立腺の状態を確認しつつ、前立腺に生検針を刺して10~14か所程度の組織を採取します。
なお、前立腺がん初期などのがんが小さい状態では、前立腺生検を行っても確定診断ができないことがあります。
前立腺生検でがんが発見されなかったもののPSA値がもともと高い場合は、PSA検査の定期的な受診がおすすめです。PSA検査によってPSA値の上昇が認められたときは、前立腺生検を再度行うケースもあります。
前立腺がんの検査にかかる費用の目安
前立腺がんの検査にかかる費用は、受ける検査項目によって異なります。どのような検査を受けるかは個人差があるため、自分が受ける検査項目の費用目安を把握しておくとよいでしょう。
前立腺がんの検査項目ごとの費用は、以下の金額が目安です。なお、費用は保険診療を適用していない場合の金額としています。
| 検査項目 | 費用の目安 |
|---|
| PSA検査 | 3,000~5,000円 |
| 直腸診 | 2,000~3,000円 |
| 超音波検査 | 5,000~10,000円 |
| MRI検査 | 20,000~40,000円 |
| CT検査 | 20,000~30,000円 |
| 骨シンチグラフィ | 30,000~60,000円 |
| 前立腺生検 | 30,000~50,000円(入院費用含む) |
すべての検査項目を受けた場合の費用は、110,000~200,000円が目安です。
ただし、いくつかの検査は保険適用によって自己負担額が3割(年齢や所得によっては1~2割)に軽減されます。直腸診・骨シンチグラフィ・前立腺生検は保険適用になりやすい検査です。
例として、すべての検査項目が保険適用になった場合は33,000~60,000円が費用の目安です。
前立腺がん検査は保険適用される?
前立腺がん検査が保険適用されるかどうかは、どのような目的で検査を行うかによって変わります。
保険適用される前立腺がん検査は、前立腺がんの診断を目的としている場合です。
例としてPSA検査では、前立腺がんの疑いがあると医師が診断し、前立腺がんのスクリーニングのために検査を行う場合に保険が適用されます。同様に、前立腺がんのスクリーニングを目的として行う超音波検査・CT検査・MRI検査も保険が適用される検査です。
直腸診・骨シンチグラフィ・前立腺生検はがんの診断を目的として行うため、基本的に保険が適用されます。
一方、前立腺がんの診断目的ではなく、健康状態のチェックを目的とする検査では保険が適用されません。人間ドックの一環として行う超音波検査・CT検査・MRI検査や、オプションで組み込んだPSA検査は、保険が適用されない検査です。
前立腺がんを早期発見するためには
前立腺がんを早期発見するためには定期的な検査が大切です。腫瘍マーカー検査のPSA検査をはじめ、超音波検査やMRI検査で前立腺の状態を調べれば、前立腺がんの早期発見・治療が期待できます。
前立腺の状態を定期的に調べるには人間ドックの受診がおすすめです。人間ドックは病気の早期発見を目的として行う精密検査であり、PSA検査を含む人間ドックを受けることで前立腺がんの予防や早期発見・治療につなげられます。
セントラルクリニック世田谷では、超音波検査・CT検査・MRI検査を中心とした高精度な人間ドックを提供しております。オプションでPSA検査にも対応しており、前立腺がんの早期発見が期待できる環境です。
まとめ
前立腺がんは男性特有のがんで、検査を受けて早期発見できれば完治が期待できます。
前立腺がんの検査方法は、大きく分けてPSA検査・直腸診・画像検査・前立腺生検の4つです。PSA検査で前立腺がんの可能性を調べ、直腸診・画像検査で前立腺の精密検査を行い、前立腺生検でがんの確定診断をするという流れで進みます。
前立腺がん検査にかかる費用の目安は、すべての検査項目が保険適用になった場合で33,000~60,000円です。ただし、がんの診断を目的としない検査では保険が適用されない点に注意してください。
前立腺がんをはじめとして、全身の病気の予防・早期発見をしたいときは人間ドックを受診しましょう。セントラルクリニック世田谷ではPSA検査・CT検査・MRI検査など、前立腺がんの発見につながる高精度な検査をご用意しております。