大腸カメラは、腸の内側を直接確かめられる検査で、がんの早期発見に役立ちます。見つかるがんの種類や検査の精度、痛みへの対策、結果が分かるまでの流れなど、受ける前に知っておきたいことは多くあります。気になる点への理解を深め、自分に合った時期での受診につなげましょう。
大腸カメラでがんが見つかる確率は?発見率と精度を解説
大腸カメラは、がんの早期発見や予防にも役立つ検査です。実際にがんが見つかる割合や、ほかの検査と比べた正確さを知ると、大腸カメラの特長が見えてきます。
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)とは
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は、先端に小型カメラがついた細い管をお尻から入れ、大腸の入り口から奥までの内側を直接観察する検査です。大腸がんの発見や治療の基本となる方法で、腸の表面を細かく確認できます。健康診断で「要精密検査」と判定された場合などにおこなわれ、ごく小さな異常も見つけられます。また、将来がんに変わる可能性のあるポリープが見つかった場合、観察と同時に切除して大腸がんの予防につなげられる点も大きな特長です。
大腸カメラで発見できる病変の種類
大腸カメラでは、初期から進んだ段階まで幅広く大腸がんを見つけられ、腸の表面の浅い部分にとどまるがんは検査中に切除も可能です。ポリープの多くは「腺腫」と呼ばれる良性のできもので、5年以上かけてがんに変わる場合もありますが、切除によって予防につながります。一般的な大腸がんとは性質の異なる直腸カルチノイドと呼ばれるがんも発見でき、小さいうちなら内視鏡で切除できる場合があります。
また、潰瘍性大腸炎やクローン病など腸に炎症が起こる病気の状態や経過観察にも役立ちます。さらに、血縁者に大腸の病気が多いなど遺伝的な体質が気になる場合の確認や、手術・放射線治療後の経過確認にも用いられる検査です。
大腸カメラでがんが見つかる確率
大腸カメラでがんが見つかる確率は、検査を受ける状況によって異なります。健康診断などで、便に血が混じっていないかを調べる便潜血検査が陽性となり、精密検査として大腸カメラを受けた場合、大腸がんが見つかる割合は全国のデータでおよそ3%です。
一方、検診を受けた人全体では、大腸がんが見つかるのはおよそ0.15%で、1,000人あたり1~2人ほどにとどまります。低い確率に思えるかもしれませんが、定期的に検査を受けることで、自覚症状が出る前のがんやポリープを見つけ、早い段階での治療につなげられます。
便潜血検査・CT検査との精度比較
大腸カメラは、ほかの検査方法と比べて、腸の異常を見つける精度が高い検査です。便潜血検査でポリープなどのできものを見つけられる割合(感度)は30〜93%と幅があり、できものが小さいほど感度が下がる傾向があります。
一方、大腸カメラの感度は、6ミリ以上のできものに対して98%との報告です。CT検査も10ミリ以上であれば感度90%前後と高い数値を示しますが、5ミリ以下や平らな形のできものを細かく観察するには大腸カメラが適しています。
大腸カメラでがんの有無はすぐにわかるのか
大腸カメラ検査は、がんの有無を確かめるだけでなく、将来の大腸がんを防ぐきっかけにもなります。検査中に分かることと、後日あらためて確かめることの違いを知っておくと、結果が出るまでの見通しが立てやすくなります。
検査中に医師がその場で確認できること
大腸カメラ検査では、内視鏡を肛門から入れ、直腸から盲腸までの腸の内側をモニター画面でリアルタイムに観察します。検査中に医師が確かめるのは、腸の内側を覆う粘膜の色合いの変化や盛り上がり、ポリープや炎症の有無です。さらに、特殊な光を当てる機能や拡大機能を使うと、粘膜表面の細かな血管の走り方や組織のつくりまで詳しく観察できます。異常が見つかった場合も、位置や大きさ、形を検査中に把握できるのが大腸カメラ検査の特長です。
大腸ポリープと大腸がんの関係
大腸にできるポリープの多くは、「腺腫」と呼ばれる良性のできものです。腺腫は大きくなるにつれて内部の細胞が少しずつ変化し、がんへと進む可能性がある点が特徴です。がんへ進むまでの期間は、一般的に数年から十数年ほどと考えられています。ポリープが良性のうちに内視鏡で切除すれば、将来の大腸がんを防ぐことが期待できます。定期的な大腸カメラ検査でポリープを早い段階で見つけて治療することが、大腸がんの予防において大切です。
見た目・画像だけで良性・悪性を判断する限界
光の色を切り替える機能や拡大観察を使うと、粘膜の表面や細かな血管の様子から、良性か悪性かをある程度予測できます。ただし、画像で分かるのはあくまで表面の見た目までです。例えば、表面は良性に見えても内部のごく一部にがんが含まれている場合や、変化がとても小さい場合は、画像だけでは見分けにくいことがあります。
ポリープの性質や細胞の状態を正確に調べるには、組織を少し採取して顕微鏡で詳しく確認する病理検査(生検)が必要です。
生検が必要になるケースと結果が出るまでの期間
内視鏡で観察しただけでは良性か悪性かを見極めにくい場合や、治療方針を慎重に決めたい場合には、生検をおこないます。生検とは、ポリープなど気になる部分から小さな組織を採取し、顕微鏡で細胞の状態を詳しく調べる検査のことです。採取した組織は、顕微鏡での診断を専門とする医師(病理医)が調べ、がん細胞があるかどうかや細胞の性質を確かめます。結果が出るまでの期間は、通常1週間から2週間ほどです。
大腸カメラによるがん検査は痛い?負担を軽減する方法
大腸カメラの検査で感じる痛みやお腹の張りは、体の状態によって一人ひとり異なります。医療機関では、体への負担を抑えるためのさまざまな工夫を取り入れています。受診前に知っておきたいポイントを押さえ、自分に合った検査につなげましょう。
検査時に痛みを感じやすいケース
大腸カメラの検査では、カメラを進めるときに腸が引き伸ばされたり、腸を膨らませるために空気を入れたりするため、お腹の張りや痛みを感じることがあります。
特に、お腹や婦人科の手術を受けたことがあり、腸の一部がほかの組織とくっついている(癒着)場合や、腸の曲がりが強く複雑な形をしている場合は、カメラが通るときに刺激を受けやすくなります。また、痩せ型の人や女性、検査への不安や緊張が強い人も、お腹の張りや痛みを感じやすい傾向です。
検査の前に、自分の体質やこれまでにかかった病気・受けた手術を医師に伝えておくと、体に合わせた方法で検査を進めやすくなります。
鎮静剤の使用など痛みを抑える工夫
大腸カメラの検査を受けやすくするため、医療機関ではさまざまな工夫を取り入れています。
代表的な方法が、腕の血管から点滴で鎮静剤を入れ、ぼんやりと意識がある状態で検査を受ける意識下鎮静法です。うとうとと眠っているようなリラックスした状態になるため、体の力が抜けて痛みを感じにくくなります。
また、腸を膨らませる際に、空気より体に吸収されやすい炭酸ガスを使い、検査後のお腹の張りを抑える方法も一般的です。さらに、空気の代わりに水を入れて腸を伸ばしすぎずに大腸カメラを進める方法や、細くやわらかい機器の使用など、体への負担を抑える工夫が取り入れられています。
痛みを抑えるためのクリニック選びのポイント
体への負担に配慮した大腸カメラ検査を受けるには、クリニック選びが重要です。ポイントのひとつは、消化器の内視鏡検査の経験が豊富な専門医が在籍しているかどうかです。経験を積んだ医師は、腸を必要以上に伸ばさずに、カメラをスムーズに進められます。
また、鎮静剤を使った検査に対応しているか、お腹の張りを抑える炭酸ガスを使っているかも確認しましょう。さらに、事前の問診で一人ひとりの体調や希望に合わせて対応しているかを調べておくことも大切です。
あわせて、鎮静剤を使う場合は、検査後に休めるリカバリールームや、血圧や脈拍などを確認するモニターが整っているかも目安になります。
大腸カメラでがんが見つかった場合の流れ
大腸カメラでがんが疑われる部分が見つかった場合は、まず詳しい検査を受けて体の状態を確かめ、結果をもとに治療方針が決まります。見つかった後に受ける追加検査や、がんの進行度に応じた治療方法について解説します。
確定診断までの追加検査
大腸カメラでがんが疑われる部分が見つかった場合、まず組織の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べる病理検査をおこないます。診断確定後は、がんの広がりや転移の有無を調べる追加検査が必要です。
主な検査には、身体の内部を画像で確認するCT検査やMRI検査、超音波検査があります。また、がんがあると血液中で増えやすい物質を調べる腫瘍マーカー検査も一般的です。必要に応じて、全身を調べるPET検査や、治療薬選びに役立つ遺伝子検査を加えることもあります。各検査の結果をもとに総合的に判断し、患者さんに合った治療方針を決定します。
大腸がんの治療方法
大腸カメラでがんが見つかった後の治療方法について、早期がんと進行がんに分けて解説します。
早期がんの場合
早期がんは、がんが大腸の内側を覆う粘膜や、粘膜のすぐ下の層の浅い部分にとどまっている状態です。がんが表面近くにあり、リンパ節への転移の可能性が低い場合は、お腹を切らずにがんを切り取る内視鏡治療を選択します。内視鏡治療には、がんの形や大きさに合わせた複数の方法があり、身体への負担を抑えた処置が可能です。なお、切り取った組織を詳しく調べた結果、がんが深い部分まで広がっている場合やリンパ節に移る可能性がある場合は、改めて手術で腸と周りのリンパ節を切除することがあります。
進行がんの場合
進行がんは、がんが大腸の壁の深い部分まで広がっている状態です。基本となる治療は手術で、がんのある腸と一緒に周りのリンパ節を切除します。手術にはお腹をメスで切って開く方法のほか、小さな傷から専用のカメラや器具を入れておこなう腹腔鏡手術やロボット支援手術もあります。切除後の再発予防として、抗がん剤による薬物療法も選択肢のひとつです。
また、がんがほかの臓器へ広がっている場合や、手術以外の方法が適している場合は、薬物療法や放射線治療、症状を和らげる治療などを組み合わせて進めます。
大腸カメラのがん検診は何歳から受けるべき?年代別の目安
大腸カメラ検査に適した時期や受け方は、年代によって少しずつ変わります。年齢ごとの目安を知っておくと、自分に合ったタイミングで予定を組みやすくなります。検査を始めたい年齢の目安から年代別に気をつけたい点、受ける間隔まで順に見ていきましょう。
40歳以上に大腸カメラ検査が推奨される理由
大腸がんは40歳代から増え始め、年齢が上がるにつれて患者数も増えていきます。初期は自覚症状が現れにくいため、40歳になったら年1回の便潜血検査を受けることが大切です。検査で陽性となった場合は、大腸カメラで精密検査を受けると早期発見につながります。大腸がんの多くは、ポリープが長い年月をかけて変化したものです。ポリープの段階で見つけて切除すれば、がんへの進行を防げます。40歳を機に、一度大腸カメラ検査を受けておくのもおすすめです。大腸カメラは腸の内側を直接観察できるため、小さなポリープも確認できます。定期的な検査を習慣にして、健康な毎日を守りましょう。
65歳以上の高齢者が受ける際の注意点
65歳以上になると、心臓や肺の持病、血液をサラサラにする薬の服用、体力や認知機能の変化など、確認しておきたい点が増えます。検査前に腸をきれいにする下剤や服用中の薬が体調に影響する場合もあるため、準備の段階から配慮が必要です。
自覚症状が現れにくい年代でもあるため、検査を受けるかどうかは年齢だけで決めず、全身の状態や本人の希望をふまえて判断します。検査を受けるメリットと体調面への影響を医師と十分に話し合い、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
検査を受ける頻度の目安
公的ながん検診では40歳以上を対象に年1回の便潜血検査が基本とされ、ガイドラインでは1〜2年に1回の間隔や、便を採る回数も選べるようになっています。
大腸カメラは便潜血検査で陽性となった場合の精密検査や人間ドックなどでおこない、次回の検査時期は前回の結果をもとに決まります。日本消化器内視鏡学会の基準では、異常がなかった場合や小さなポリープを1〜2個切除した場合は5年後、3〜9個切除した場合は3年後が目安です。なお、がんの治療後のほか、ポリープを10個以上切除した場合や大きなポリープを切除した場合は、1年後の検査が勧められます。
大腸カメラとがんに関するよくある質問
大腸カメラを検討するとき、検査の正確さや当日の流れ、ポリープを取ったあとのことなど、事前に確認したい点はいくつもあります。さらに知っておきたいポイントを質問形式で分かりやすくまとめました。
大腸カメラでがんの見逃しはあるのか?
大腸カメラは、がんやポリープなどの異常を見つけやすい検査です。ただし、腸内の状態や形によっては、小さなポリープや平らな形のがんを見つけにくい場合もあります。10mm以上のポリープでも、見落とし率は約2.1%と報告されています。
現在は、特殊な光で粘膜の模様を見やすくする機能や、拡大して観察する技術が進み、平らな形のがんも早い段階で見つけやすくなりました。定期的に検査を受け、医師に丁寧に観察してもらうことが、早期発見への近道です。
大腸カメラ検査当日はどのような流れでおこなわれるか?
大腸カメラ検査の前日は、きのこや海藻など食物繊維の多い食事を控え、寝る前に下剤を飲みます。
当日の朝は食事をとらず、腸をきれいにする専用の下剤を1.5〜2リットルほど、数回に分けて飲むのが一般的です。検査着に着替え、必要に応じて鎮静剤や鎮痛薬を使いながら、横向きに寝てカメラを入れます。検査時間は15〜30分程度で、ポリープが見つかればその場で切除も可能です。検査後はおなかにたまったガスを出しながら30分〜1時間ほど休み、当日は車の運転や激しい運動を控えて過ごします。
大腸ポリープを切除した場合のがんリスクは?
大腸ポリープのうち、がんになる可能性がある腺腫を切除すると、大腸がんの発症を約76〜90%減らし、大腸がんで亡くなる人の割合も大きく下げられると報告されています。がんになる前の段階で取り除くことが、大腸がんの予防につながります。
ただし、切除後も新しいポリープができることがあるため、定期的な検査が大切です。次回の検査時期はポリープの大きさや数によって異なり、多くの場合は1年後や3年後が目安です。小さなポリープが1〜2個であれば、5年後となる場合もあります。
ポリープを何回かに分けて切除した場合や、検査前の下剤で腸の中が十分にきれいにならなかった場合は、より短い間隔での再検査が勧められます。
まとめ
大腸カメラは、腸の内側を直接見ることで、初期のがんから進んだがん、将来がんに変わる可能性のあるポリープまで見つけられる検査です。便の検査やCT検査と比べて、小さなできものや平らな形のできものも確認しやすく、精度の高さが特長です。ポリープを検査中に切除すれば、大腸がんになる可能性を大きく減らせると報告されています。検査中の痛みやお腹の張りは、眠くなる薬やお腹が張りにくいガスを使うことで和らげられます。大腸がんは40歳代から増え始めるため、40歳を機に一度大腸カメラを受けると、早期発見と予防につながります。自分に合った検査の時期を知るために、まずは医師に相談してみましょう。