人間ドックと健康診断の違いとは?検査項目や費用を比較

人間ドックと健康診断の違いとは?検査項目や費用を比較

「遺伝による病気が心配だが早期発見する方法はあるのだろうか」「年齢的にそろそろ詳しい検査を受けたほうが良いだろうか」そう考えたとき、選択肢に出てくる人間ドック。しかし、検査に時間がかかったり、お金がかかったりすることから、会社や自治体の健康診断で十分なのでは?とも思う方もいるかもしれません。

そこで本記事では人間ドックと健康診断の検査項目や費用の違い、人間ドックを受ける必要性や利点についてお話しします。人間ドックを受けようか迷っている方や、どのような検査項目を選ぶべきかわからない方は、ぜひこの記事を最後までお読みください。

人間ドックと健康診断の違いとは

人間ドックと健康診断の違いとは

人間ドックと健康診断の大きな違いは法的義務の有無です。人間ドックは健康診断と異なり義務づけられた検査ではありませんが、身体の状態を詳しく調べられ、自覚症状のない病気の発見や予防につなげられる利点があります。人間ドックと健康診断の概要について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

人間ドックの目的

人間ドックは身体に潜んでいるあらゆる病気の早期発見や予防、健康維持を目的としています。全身の状態を詳細に検査できるため、自覚症状がない病気でも発見することが可能です。

検査の後は医師からの説明とアドバイスがあり、検査で得られたさまざまなデータを見ながら、病気の治療や予防の計画を立てていきます。しかし、法的に義務づけられている健康診断とは異なり、個人が自分の意思で受けに行く必要があります。

健康診断の目的

健康診断は、生活習慣病などの病気の早期発見と予防を目的とした定期的な検診です。人間ドックよりも身体の状態をおおまかに検査するようなイメージで、検査後は医師による説明がなく、結果が自分のもとに届くことが多いです。企業に勤めている人は、健康診断を年に1回受けることが労働安全衛生法によって義務づけられています。

人間ドックと健康診断の検査項目について

人間ドックと健康診断の検査項目について

健康診断は身体計測や血液検査など身体の状態を把握するための検査が中心ですが、人間ドックではそれに女性特有の病気やがんなどの検査が加わります。人間ドック協会や、労働安全衛生法で定められている人間ドックと健康診断の検査項目を見ていきましょう。

人間ドックの検査項目

日本人間ドック協会で定められている人間ドックの検査項目は、必須項目とオプション項目にわかれます。

必須項目

区分項目
身体計測身長・体重・肥満度・BMI・腹囲
生理機能の検査血圧測定・心電図・心拍数・視力・聴力・呼吸機能など
X線・超音波検査胸部X線・上部消化管X線・腹部超音波
血液の検査総蛋白・アルブミン・中性脂肪・血糖・赤血球・白血球など
尿の検査尿蛋白・尿糖・潜血など
便の検査潜血
問診・診察医療者との面接・医師の診察
判定・指導医師による結果の説明・医療者の保健指導

オプション項目

区分項目
胃の検査上部消化管内視鏡
乳がんの検査乳房診察・マンモグラフィ(もしくは乳腺超音波)
婦人科疾患の検査婦人科診察・子宮頸部細胞診
前立腺疾患の検査(※)PSA(前立腺特異抗原)の検査
C型肝炎ウイルスの検査(※)HCV(C型肝炎ウイルス)の検査

(※)前立腺疾患とC型肝炎ウイルスの検査は血液検査でおこなう

医療機関によってはこれらに加えて、脳の病気を調べる検査や、全身のがんを調べる検査など数多くのオプション検査を受けることが可能です。受けたい検査数が多ければ、2日間にわけるコースを選択できる医療機関もあります。人間ドックの検査数は50〜100におよぶため、さまざまな角度から総合的に身体の異常を調べられるわけです。

健康診断の検査項目

労働安全衛生規則により、企業に勤めている人は1年に1回、以下の項目で医師による健康診断を受ける必要があります。検査項目は以下のとおりです。

  • 既往歴や業務歴の調査
  • 自覚・他覚症状の有無の検査
  • 身長・体重・腹囲・血圧の測定
  • 視力および聴力の検査
  • 胸部X線検査と喀痰の検査
  • 血液検査(貧血・肝機能・脂質・血糖など)
  • 尿検査
  • 心電図検査

主婦や個人事業主など受ける一般の健康診断では、これらの項目に大腸検査や腹部超音波、子宮頸がん検査、乳がん検査などを追加できることもあります。

健康診断の検査項目

人間ドックと健康診断の費用について

人間ドックの費用は、基本的に全額自己負担のため高額になりやすいです。一方で労働者が企業で指定された健康診断を受ける場合は、企業側に費用を負担してもらえます。人間ドックと健康診断の費用をそれぞれ詳しく見ていきましょう。

人間ドックの費用

人間ドックの相場は日帰りコースで3万〜7万円ほど、1泊2日コースで4万〜10万円ほどです。費用は医療機関で使用される検査機器の精度や、オプションの有無などによっても異なります。

人間ドックの費用は健康診断とは異なり、健康保険が適応されないため、全額自己負担です。しかし、医療保険や市町村から補助金がでることもあるので、費用を抑えたい場合は自分の住んでいる自治体に確認してみると良いでしょう。

健康診断の費用

企業に勤めている人が指定された健康診断を受ける場合、その費用は企業が負担するため自己負担はありません。
企業に勤めていない主婦や自営業などが受ける一般の健康診断の相場は、5,000〜2万円ほどです。しかし、企業に勤めていない人でも、自治体などで主催されている健康診断を割引料金で受けられることもあります。

人間ドックは受けたほうが良い?

人間ドックは受けたほうが良い?

身体に潜んでいる病気の悪化を防ぐために、人間ドックは年に1回受けることをおすすめします。人間ドックでは、健康診断でみつけられないがんなどの病気のリスクも検出できるためです。特に肺がんや大腸がんは年に1回の検査が推奨されているため、発見が遅れて治療が手遅れにならないようにするべきでしょう。

人間ドックを受けるメリット

人間ドックを受けるメリット

病気の存在を早めに気づけることや、結果に対する医師の説明が十分に聞けることは、健康診断にはない人間ドックならではのメリットです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

病気の早期発見

人間ドックは健康診断よりも多くの検査項目があり、全身の健康状態を把握できるため、自覚症状がなくても身体のなかに潜む異常や病気をみつけられます。特にがんは健康診断で検査できないことが多いため、早めの発見と治療につなげることで、命を落とす危険性が減るでしょう。人間ドックで身体の状態を詳しく把握することで、手遅れになる状況を防ぐことが可能です。

医師による検査結果の説明

健康診断は検査の後日もしくは即日に結果が自分のもとに届くことがほとんどですが、人間ドックは検査の後に医師からの結果の説明と指導の場があります。検査項目で異常がみつかったときは、精密検査や治療をしたほうが良いのか、食生活はどうしたらいいのかなど的確な指示をもらえます。結果を知れるだけでなく、結果に対する疑問をその場で解決できるのも、健康診断にはない利点です。

人間ドックを受けるデメリット

人間ドックを受けるデメリット

人間ドックを受けるデメリットは、健康診断と違って費用が高くなりやすいこと、身体にリスクを伴う検査項目があることです。それぞれ詳しく説明していきます。

高い費用

人間ドックは基本的に全額自己負担であること、健康診断よりも検査数が多いことから、費用が高くなりやすい傾向があります。しかし、健康診断にはない結果が得られたり、医師や医療者からの手厚いサポートが受けられたりするため、得られるものも大きいといえます。費用を抑えたい方は、人間ドックが受けられる医療機関の相場を比較したり、自治体などで補助金が利用できないか調べたりしましょう。

検査によって伴うリスク

人間ドックの検査のなかには、受けることによって身体に害をおよぼす可能性がでるものもあります。たとえば胃の内視鏡検査では、鼻出血がでたり粘膜を傷つけたりするなどの偶発症(※)が起こった例もあります。事前に検査を受けるにあたっての注意点を、検査者からよく聞いておきましょう。

(※)偶発症:医療的な検査や治療によって偶然起こる身体に不都合な事象

人間ドックがおすすめな人

人間ドックがおすすめな人

遺伝の可能性を考慮して、家族にがんの既往がある方は健康診断ではなく人間ドックを受けたほうが良いでしょう。
また、人間ドックは食生活の乱れや運動不足などの生活習慣が気になる方や、忙しい生活になりやすい経営者や個人事業主などにもおすすめです。詳しく見ていきましょう。

親族にがんの既往がある人

国立がん研究センターの研究では、全ての部位において遺伝によるがんの発症リスクが統計学的に高まることがわかっています。そのなかでも食道や胃、肝臓、肺、子宮、膀胱は、特に遺伝する可能性が高いです。実の両親や兄弟、姉妹の少なくともひとりが、がんを発症した経験があれば、人間ドックでがんの検査を受けたほうが良いでしょう。

参考:がん対策研究所 予防関連プロジェクト「がん家族歴と、その後のがん罹患リスクとの関連について」

遺伝しやすいがんの種類や検査方法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

>>遺伝しやすいがんの種類や検査方法を解説

生活習慣病が気になる人

不規則な生活や食生活、ストレスなどにより、健康に好ましくない生活を送っている方は、人間ドックを受けたほうがよいでしょう。生活習慣病は、食事や運動、喫煙、飲酒などの生活習慣が原因となる病気のことで、がんや脳卒中、心臓病も当てはまります。病気がみつからなかったとしても、病気の予防のために改めるべき生活習慣の指導を受けられます。

経営者や個人事業主

事業の経営者や個人事業主など、仕事上で自分の代わりがいない方は、健康診断ではなく人間ドックを受けるのがおすすめです。予想にもしなかった病気に突然かかり、治療を長期間受けることになると、経営や生活に大きく影響するでしょう。忙しくて足を運ぶのがおっくうかもしれませんが、万が一病気にかかっても早期発見できるよう、年に1回は受けるようにしましょう。

人間ドックの検査項目の選び方

人間ドックの検査項目の選び方

人間ドックでは、年齢ごとに発症リスクの高い病気を調べられる検査項目を選びましょう。人間ドックで受けられる検査項目は健康診断と違って豊富にあり、医療機関によっては全身のがんの検査を受けることも可能です。それぞれの年代におけるおすすめの検査内容についてお話ししていきます。

20・30代におすすめの検査項目

人間ドックで20・30代におすすめの検査項目は、子宮頸がん、乳がん、胃がん、大腸がんの検査です。子宮頸がんは20代から30代、乳がんは30代から発症リスクが高まることがわかっています。

特に乳がんは日本人の女性がかかるがんとして最も多いため、オプション項目を追加するのをおすすめします。また、胃がんや大腸がんも40代までに発症する可能性がある病気なので、便潜血や上部内視鏡検査、胃レントゲン検査などで確かめもらいましょう。

40代におすすめの検査項目

40代で受けるべき人間ドックの検査項目は、20〜30代でおすすめした検査と、肺がん、膵臓がん、子宮体がん、卵巣がんの検査です。肺がんは40代から発症する可能性があることがわかっているため、胸部レントゲン検査で肺に異常がないかを確認できると安心です。また、子宮体がんや卵巣がんは40代以降の閉経前後の女性に多く見られるといわれているため、これについても検査を受けたほうが良いでしょう。

50代におすすめの検査項目

50代の人間ドックでは、心臓病や脳卒中、前立腺がん、骨密度(主に女性)の検査を追加しましょう。厚生労働省の令和4年の人口動態統計月報年計の概況によると、50代の男性と女性の死因は、悪性腫瘍(がん)、心臓病、脳卒中が多いとされています。心電図検査のほか、心臓のMRI検査や超音波検査、頭部MRI検査なども追加して、心臓や脳の病気が潜んでいないか確かめると良いでしょう。

また、50代になると前立腺がん(男性)や膵臓がんになるリスクが高まります。PSA検査や腹部の超音波検査、CT検査などで、がんが潜んでいないか確認できると安心です。さらに、閉経後の女性にみられやすい骨粗鬆症の検査を受けておくことで、将来の骨折や寝たきりの予防にもつながります。

参考:厚生労働省「令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の状況」

60代以降におすすめの検査項目

人間ドックを60代以降に受けるときは、全身のがんの検査もおこないましょう。令和4年にがんによって死亡した人は、60〜64歳の男性で約35%であり、女性では50%を超えていることがわかっています。

全身のがんを調べるための医療機器として幅広く利用されているのが、PET-CT検査です。PET-CT検査は静脈からFDG(放射線フッ素を付加したブドウ糖)を注射した後、全身のCT検査をおこなって画像化します。

がん細胞は正常な細胞より多くのブドウ糖を取り込むため、画像化してブドウ糖がたくさん集まっている部位を確認することで、がんの可能性を特定できるのです。PET-CT検査は費用がやや高めですが、がんの有無や転移、広さを高い精度で診断できます。PET検査についてより詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

>>PET-CTとは?費用や検査でわかることなど徹底解説

まとめ

人間ドックは健康診断よりも検査項目が多く、費用が高くなる傾向があります。

人間ドックは健康診断よりも検査項目が多く、費用が高くなる傾向があります。しかし、さまざまな検査で身体の状態を深く調べられるため、自覚症状がない病気の早期発見が可能となっています。

また、検査結果に対して医師からの説明やアドバイスが聞けるのも魅力的です。特にがんの遺伝や不規則な生活習慣が気になる方は、年に1回は受けるようにしましょう。

セントラルクリニック世田谷では、PET-CTやMRIなど高精度の医療機器を活用し、質の高い検査・診断を提供しております。人間ドックをご希望の方はお気軽にご相談ください。

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