PET-CTとは?費用や検査でわかることなど徹底解説

「身内でがんになった人がいるため心配」「がんについて徹底的に検査を受けたい」など、がんに対して不安を抱えていませんか?

がんの有無を調べる方法はさまざまありますが、PET-CT検査は1度の撮影で全身の状態を調べることができ、大きさが1cm程度の早期がんの発見に役立つと期待されています。
本記事ではPET-CT検査について、かかる費用・特徴・検査で調べられることなどを詳しく解説します。

PET-CT検査とは

PET-CT検査とは

近年、人間ドックやがん検診でPET-CT検査を採用する医療機関が増えてきました。特徴やほかの検査との違いについてみていきましょう。

PET-CT検査の特徴

PET-CT検査は、PET検査とCT検査を組み合わせたものです。

PET検査は、検査薬に放射性薬剤を用いて組織や細胞の機能の状態を画像化します。広く利用されている放射性薬剤には、ブドウ糖にごく微量の放射線を出す成分を付加した「18F-FDG」があります。がん細胞に取り込まれたブドウ糖の分布を画像で確認することで、がんの有無などを診断できるのです。

CT検査は、X線を用いて臓器の断面像を撮影するものです。

PET-CT検査では、PET検査とCT検査の両者を組み合わせた画像が得られることで、病変部位の位置や範囲をより正確に把握できます。さらに病変部分の重症度を予想することも可能です。

PET-CTとMRIやCTの違い

MRI検査やCT単独検査は、体の断面画像から形状の異常を発見します。一方PET-CT検査では、形状の異常のみならず、組織や細胞の活動量も同時に調べることが可能です。

PET-CT、MRI、CTの3者では、放射線による被ばく量に差があります。

MRI検査は磁気を用いているため、X線による被ばくがありません。CT単独検査では、撮影する部位によって異なりますが、5~30mSvの被ばく量があります。PET-CT検査は、検査薬の放射性薬剤とCTによる被ばく量を合わせても10mSv未満であるため、健康への心配は不要です。

PET-CT検査の費用

PET-CT検査の費用

PET-CT検査を自由診療で受けた場合と、保険適用で受けた場合の費用を比較してみましょう。保険適用となる条件についても解説します。

PET-CT検査にかかる費用の相場

健康な人が、がんの早期発見・早期治療を目的として人間ドックやがん検診などを受診する場合、保険適用外となるため検査費用はすべて自己負担となります。PET-CT検査のみを保険適用外で受診するときの費用相場は約10万円です。

PET-CT検査が組み込まれている人間ドックや総合がん検診の費用相場は、20〜30万円になります。

保険適用になる条件と自己負担額

PET-CT検査が保険適用となる条件は以下のとおりです。ただし、ほかの検査や画像診断によって確定診断ができない場合に限ります。

  • 早期胃がんを除く悪性腫瘍
  • 難治性部分てんかんで外科手術が必要となる場合
  • 心サルコイドーシスの診断
  • 虚血性心疾患による心不全の心筋バイアビリティ診断
  • 大型血管炎

PET-CT検査を保険適用でおこなう場合、撮影料のほかに核医学診断料や画像診断管理加算なども算定されます。医療機関によって前後しますが、保険適用された場合の検査費用の目安は以下のとおりです。

  • 1割負担の場合:10,000~12,000円
  • 3割負担の場合:32,000~35,000円

高額療養費制度が利用できる条件

高額療養費制度とは、ひと月のうちに支払う医療費が一定の金額以上になったときに、超えた金額分が払い戻しされる制度です。支払上限額は、年齢や年収によって定められています。高額療養費制度における医療費とは「保険適用の診療や治療薬に対して支払った自己負担金」のことです。

人間ドックやがん検診など自由診療で受けたPET-CT検査の費用は、高額療養費制度の対象外になるため注意してください。保険適用で受けた場合の費用は、高額療養費制度の対象に含まれます。

PET-CTで検査できること

PET-CTで検査できること

PET-CT検査で広くおこなわれているのは、ブドウ糖に放射性物質を付加した検査薬「18F-FDG」を使用した方法です。がん細胞や一部の臓器は多量のブドウ糖を取り込む性質があり、この性質を応用しています。

PET-CT検査で発見しやすいがんの種類や、がん以外に調べられる主な疾患などについて詳しく解説します。

PET-CTで見つけやすいがん

ブドウ糖の取り込み量が多く、塊を作るタイプのがんはPET-CT検査を得意としています。がんの大きさが1cm以上になれば見つけられます。発見しやすいがんの種類は以下のとおりです。

甲状腺がん、咽頭がん、喉頭がん、肺がん、頭頚部がん、大腸がん、
乳がん、すい臓がん、食道がん、卵巣がん、子宮体がん、悪性リンパ腫など

PET-CTで見つけにくいがん

ブドウ糖を取り込む量が少ないタイプや塊を作らないタイプのがんは、PET-CT検査で検出するのが不得手です。また、ブドウ糖を大量に消費したり検査薬を排泄したりする臓器はPET-CT検査に向いていません。PET-CT検査で見つけにくいがんの具体例は以下のとおりです。

膀胱がん、尿管がん、腎臓がん、肝臓がん、前立腺がん、
胃のスキルスがん、1cm未満の微細ながん

PET-CT検査が向いていないがんの場合は、ほかの検査と組み合わせて精度を上げることが可能です。

がん以外で検査できる疾患

がん以外での疾患でも、PET-CT検査が利用されています。検査により、脳や心臓の活動度・血流量・酸素消費量を知ることができるため、以下の脳疾患や心臓病の診断がおこなわれています。

  • 脳血管障害
  • アルツハイマー型認知症
  • てんかん
  • パーキンソン病
  • 心筋梗塞

PET-CT検査を受けるメリット・デメリット

PET-CT検査を受けるメリット・デメリット

人間ドックやがん検診で、PET-CT検査を受けるメリットとデメリットについて確認しましょう。

メリット

PET-CT検査のメリットは以下の3つです。

  • 1度で全身のがんを検査できる
  • 小さながんでも発見できる
  • がんの性質を予想できる

それぞれについて詳しくみていきましょう。

1度で全身のがんを検査できる

ほかの検査は臓器ごとの撮影になりますが、PET-CT検査は1度の撮影で全身の状態を調べることが可能です。全身に広がったり、複数の場所に発生したりしたがんでも見落としが少なくなります。

PET-CT検査は、最初に検査薬(放射性薬剤)を注射して1時間安静にする必要がありますが、その後は検査による苦痛や負担はほとんどありません。単独のCT検査では造影剤を使用するケースがありますが、PET-CT検査では使用せずに済むため、造影剤にアレルギーがある人もがん検診を受けられます。

小さながんを発見できる

PET-CT検査は、大きさが1cm前後の小さながんでも発見できます。

がんは1cmの大きさになるまで10~15年かかるものの、1cmのがんが倍の大きさになるのはわずか1~2年です。がんのサイズが小さいうちは自覚症状がないため、がんが発生していても気づかないことが多くみられます。

早期がんのうちに発見できれば治る可能性が高く、治療による体や医療費の負担も軽く済むメリットがあります。

がんの性質を予想できる

PET-CT検査で得られた画像の光の強弱によって、がんの悪性度を予想できます。

がん細胞は、健康な細胞よりも多くのブドウ糖を取り込む特徴があります。なかでも活発ながん細胞はブドウ糖の代謝が早いため、進行が早く転移しやすいがんほどエネルギー源のブドウ糖を大量に取り込むのです。

ブドウ糖に似た性質のある検査薬「18F-FDG」を投与すると、活発で悪性度の高いがん細胞に18F-FDGが多く集まり、PET-CT検査の画像では強く光るように映ります。得られた検査画像で、がんのサイズが小さくても強く光る場合は高リスクのがんと予測され、適切な治療方法が検討されます。

デメリット

PET-CT検査には、大きく2つのデメリットがあります。

  • 検出しにくいがんがある
  • 血糖値が高い人では検査精度が低下する

ひとつずつ確認していきましょう。

検出しにくいがんがある

PET-CT検査には、発見が不得意ながんや検査に不向きな臓器があります。

大きさが1cm未満のがんや、進行の緩やかな低悪性度のがんなど、ブドウ糖の取り込みが少ないタイプのがんは、検査薬の18F-FDGが集まりにくいため発見するのが難しいです。

脳・脊髄・胃・泌尿器系など生理的にブドウ糖が集まりやすい臓器は、異常がなくても18F-FDGが集まる傾向があるため、正確な判定ができない可能性が高くなります。

血糖値が高い人では精度が低下する

検査薬に18F-FDGを用いたPET-CT検査では、血糖値が高いと正しい結果が得られない可能性があります。

血糖値が高い状態になると、ブドウ糖が常に多く存在しているため、病変部分が18F-FDGを取り込まなくなることが理由です。空腹時血糖値が150mg/dL以上になる場合は、検査不可となるケースが多くなります。糖尿病などで普段から高血糖である人は、検査日までに血糖コントロールが必要です。

PET-CT検査の流れとかかる時間

PET-CT検査の流れとかかる時間

PET-CT検査は全部で3時間ほどかかります。当日の流れや気をつけることについて確認しましょう。

1.検査薬の投与

受付を済ませた後は、問診と血糖値の測定をしてから、検査薬(放射性薬剤)を静脈注射します。検査前は絶食指示が出ていますが、水やお茶などの糖分を含まない飲み物については、摂取して構いません。

2.安静

検査薬を注射した後は、全身に行き渡るまで1時間ほど安静にします。

安静にしている間に水分をとることは可能ですが、会話・スマートフォンの操作・読書・音楽を聴くことはできません。何らかの動作をおこなうと、筋肉や脳に検査薬が集まりやすくなってしまい、正しい結果が得られないことが理由です。

3.撮影

膀胱内に排泄された余分な検査薬を体外へ排出するため、撮影前にお手洗いを済ませてから検査を開始します。

撮影はPET-CT装置に仰向けに横たわった体勢でおこない、撮影時間は20~30分ほどです。必要に応じて、2回目の撮影をおこなうこともあります。

4.待機

撮影した後は、検査薬による放射線量が少なくなるまで、院内で30分~1時間ほど安静に過ごします。尿中に放射性物質が含まれているため、帰宅前にもう一度お手洗いに行くことを勧められることがあります。

PET-CT検査の注意事項

PET-CT検査の注意事項

PET-CT検査を受けるにあたり、検査前後に注意する点は3つあります。ひとつずつ詳しく解説します。

検査前日の激しい運動を控える

検査前日から激しい運動や重労働は控えて、できるだけ安静に過ごすようにしてください。

筋肉はエネルギー源としてブドウ糖を消費するため、運動などによって筋肉を酷使すると、検査薬の18F-FDGが筋肉に集まってしまい、正しい検査結果が得られない可能性があります。検査当日は、ウォーキングなど長時間の歩行も控えるようにしましょう。

検査5~6時間前から絶食する

検査の5~6時間前から、食事や糖分の含まれた飲料を摂取するのを控えます。

食事などにより体内の血糖値が高い状態にあると、病変部分が検査薬の18F-FDGを取り込まなくなるため、がんなどが体内にあっても見つかりにくくなります。糖分が含まれていないお茶や水は検査に影響しないため、普段と同じように摂取して構いません。

検査後は乳児や妊婦との接触に気をつける

検査が終わった後も、検査薬により少量の放射性物質が体内に残っています。検査当日は、放射線の影響を避けるため、乳児や妊婦との接触は控えるようにします。

放射線量は、検査薬を注射してから2時間後には半分に、4時間後には4分の1まで低下します。検査翌日には、検出できないほど放射線量は少なくなるため、健康への心配はいりません。

まとめ

PET-CT検査は、PET検査とCT検査を同時におこなう

PET-CT検査は、PET検査とCT検査を同時におこなうことで、病変部分の位置や範囲がより詳しく把握できます。さらに組織や細胞の活動量も調べられるため、疾患の進行度合いを確認することが可能です。

PET-CT検査を人間ドックやがん検診などの自由診療で受けた場合の費用相場は10~30万円です。保険適用でPET-CT検査を受ける場合は、疾患や条件などの制約があります。

PET-CT検査は1度の撮影で全身の状態を調べられ、小さながんの発見やがんの性質の予想が得意です。ただし一部のがんは、PET-CT検査を不得手としています。

PET-CT検査を希望する際はメリット・デメリットを理解し、必要に応じてほかの検査も組み合わせて受診することをおすすめします。

セントラルクリニック世田谷では、PET-CT検査をはじめとした人間ドックを受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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