CTC検査(血中循環がん細胞検査)とは?がんがわかるって本当?信憑性や費用・保険適用など解説

日本人にとって身近な病気である「がん」。がんを早期発見・早期治療することの重要性は一般にも認知されつつあり、人間ドックなどの予防医療においても検査の選択肢が増えてきています。
画像診断ではPET-CTやDWIBS(全身MRI)、血液検査では腫瘍マーカー検査などが普及しているなか、近年ではCTC検査が注目されていることをご存知でしょうか。
この記事ではCTC検査(血中がん細胞検査)について、がんを発見できる仕組みや信憑性、費用などを詳しく解説していきます。がんを予防・早期発見するためや、がん治療後の再発予防などのために検査を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
CTC検査とは?

CTC検査は、がんの予防や早期発見、再発リスクの把握、治療のモニタリングを目的とした血液検査です。血液中に存在する「血中循環がん細胞(CTC:Circulating Tumor Cells)」を検出することで、画像診断では見つけられない小さな病変を捉えます。
CTC(血中循環がん細胞)とは
CTCとは、がんが体内で増殖を始めた際に血液中に流れ出す特異な細胞のことです。
がんはある程度の大きさになって初めて画像診断で見つけられるようになりますが、CTCはその前段階である、小さすぎて画像に映らない時点から血液中を循環します。
そのため、血液中にCTCが存在するかを調べることで、がんの兆候を他の検査よりも早く見つけられる可能性が高くなるのです。
CTC検査のメリット
CTC検査は、血液のなかに混ざった微細ながん細胞を専用の技術で検出する検査です。
一般的ながんは時間をかけて成長し、1〜2cm程度の大きさになった段階でようやく画像診断で可視化されるようになります。しかし、がん種や臓器の場所によって見つけやすさが異なります。それよりも進行した段階ではじめて発見され、すでに治療の選択肢が限られている場合もあるのです。
CTC検査では、がん細胞が直径0.1~0.5cm程度の微細な段階や、発がん前の状態でも、血液中に出てきたCTCの検出で見つけ出せるメリットがあります。画像診断だけでは発見できない早期のリスクに気づくことが可能になるだけでなく、再発や転移の兆候を早めに察知し、治療方針の見直しなどを検討する手段としても有効です。
CTC検査でわかること

CTC検査でわかることは、主に以下の3つになります。
- 超早期のがん細胞の有無
- がん治療の効果
- がんの再発や転移
CTC検査は超早期のがんの兆候が見つけられるだけでなく、がん患者様の治療効果のモニタリングや、再発や転移のリスク確認にも役立ちます。これらの内容について詳しく確認していきましょう。
超早期のがん細胞の有無
CTC検査の大きな特徴は、血液を採取することで超早期のがん細胞の存在がわかることです。CTC検査では、がんが画像に映るようになる前、すなわち直径0.1~0.5cm程度の微細ながん細胞の存在を捉えることが可能です。
このような超早期の段階で発見できれば、身体的負担の少ない治療を選択でき、治療中・治療後も変わらない生活を送ることができるでしょう。
がん治療の効果
CTC検査はがん治療中の患者様においても活用される場面があります。それは、実施した治療中の効果が得られているかを判断したい場合です。
治療をおこなった後にもCTCが依然として検出される場合には、治療方針の見直しや別の治療法の追加が必要になるかもしれません。逆にCTCが消失していて他の検査でも悪化の所見が認められない場合には、治療が良好に進んでいると判断できます。
がんの再発や転移
CTC検査では、がんの再発や転移を確認できます。がんの治療が終了した後の定期検査としてCTC検査を採用すれば、再発や転移の兆候をいち早く把握することが可能となります。
CTC検査は、がんの早期発見や予防、治療後のモニタリングといった多面的な手段で注目される、次世代型のがん検査といえるでしょう。
CTC検査の信憑性

CTC検査はがん細胞の超早期の段階を高い確率で検出できる検査法ではありますが、精度は完璧ではありません。すべてのがん細胞を確実に見つけられるものではないため、検査結果の解釈には慎重さが求められます。
実際の臨床では、CTC検査単体でがんの有無や進行状況を判断することはなく、他の検査と組み合わせて総合的に診断がおこなわれます。例えば、CTやMRIなどの画像診断、血液検査における腫瘍マーカーの測定の結果などとあわせて評価することで、より正確な診断と治療方針の決定が可能です。
現在のところ、CTC検査はあくまでも有用な補助的ツールの一つとして位置づけられています。単体の検査結果を過信せず、医師と十分に相談したうえで、他の情報とあわせて判断することが大切です。
CTC検査が有用な人

ここまでCTC検査の具体的な内容や検査結果の信憑性についてお伝えしてきましたが、CTC検査は特にどんな人に向いているのでしょうか。CTC検査が有用となるのは、以下に当てはまる方が挙げられます。
- がんの家族歴がある人
- がん治療中の人
- がんの再発リスクがある人
がんの家族歴がある人
祖父・祖母や両親、兄弟など、がんに罹患した家族がいる場合、CTC検査が有用になる可能性があります。家族が罹患したがんに遺伝的な要因がある場合、自身も同じがんを発症するリスクが高いため、自覚症状がない段階から定期的に検査を受けることが重要です。
人間ドックやがん検査のオプション項目として、毎年受けることがおすすめです。
がん治療中の人
現在、がんの治療を受けている患者にとっても、CTC検査は有用です。治療効果を確認するための指標として活用できるため、治療効果が不明瞭なケースでもCTC検査の結果が判断の補助になります。
また、CTCが血液にどの程度流れているかを把握することで、再発や転移の兆候を早期に察知することも可能です。治療方針の見直しや、追加の治療を検討する材料にもなり得るため、治療中は定期的な検査が望まれます。
がんの再発リスクがある人
がんの治療を終えた後も完全に安心するのでなく、CTC検査を定期的に受けると良いでしょう。がん治療後も再発や転移のリスクは残っており、定期的なフォローが重要になるためです。
CTC検査をおこなうことで、再発の兆候を早い段階で察知でき、再治療や経過観察の開始を適切なタイミングで判断できます。CTC検査は採血のみで実施でき、体への負担が少ないため、継続的なモニタリングにも適しています。症状が現れる前にリスクを捉え、再発の可能性を早期に発見できるよう対策することが重要です。
CTC検査の流れ

CTC検査を受診する際の流れは以下のとおりです。
- 医師から診察や問診、検査の説明を受ける
- 採血を受ける(10〜20mLが目安)
- 医療機関が検査所に検査依頼書と検体(採取した血液)などを郵送し、検査を依頼する
- 採血から2〜4週間後に検査結果が判明する
CTC検査は採血だけで実施でき、身体的負担が少なく検査自体も短時間で済みます。
人間ドックやがん検診のオプションとして受診する場合は、他の検査にかかる時間も発生しますが、より多角的に自身の健康状態を把握する方法として比較的取り入れやすい検査といえるでしょう。
CTC検査の費用

CTC検査は基本的に保険適用されず自費診療となるため、費用は医療機関によって異なります。そのため、一般的な相場は以下のとおり幅があります。
- CTC検査:5万~30万円
- マイクロCTC検査:10万円以上
マイクロCTC検査は「マイクロ流路機器法」という微小な流路のある専用機器を使用することで、悪性度の高いがんを分離・検出できる検査です。検査結果が陰性である場合の正確性は約94%だと言われており、通常のCTC検査よりも精度の高い結果が得られるのが特徴です。
また、一部の医療機関では人間ドックのオプション項目としてのみ受けられる場合もあります。検査費用については、事前に医療機関に確認することが大切です。
CTC検査が陽性だった場合の対応

CTC検査が陽性だった場合、血液中にCTCが検出されたことを意味します。CTCが検出されても、必ずしもがんが確定したわけではありませんが、がんの発生・再発や転移の可能性が考えられるため詳しい検査が必要です。
具体的には、PET-CT検査や腫瘍マーカー検査が適しているでしょう。
PET-CT検査を受ける
CTC検査が陽性だった際には、全身のがんの有無を調べられるPET-CT検査を受けると良いでしょう。PET-CTは、がん細胞がブドウ糖を取り込む性質を利用して、がんの有無や、どの部位にどのくらい広がっているかなどを確認できる画像診断検査です。
PET-CT検査については以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてお読みください。
>>PET-CTとは?費用や検査でわかることなど徹底解説
腫瘍マーカー検査を受ける
CTC検査が陽性の場合には、血液検査で腫瘍マーカーを測定することも推奨されます。腫瘍マーカーとは、がん細胞が血液中に産生する特有の物質です。CTC検査と併用することで、がんの有無や種類などをより正確に把握する手がかりになります。
CTC検査に関するよくある質問

最後に、CTC検査に関するよくある質問についてお答えしていきます。
- CTC検査は安全ですか?
- CTC検査で原発巣はわかりますか?
- CTC検査はどのくらいの頻度で受けると良いですか?
CTC検査の理解を深め、安心して検査を受けられるように、疑問点を解消していきましょう。
CTC検査は安全ですか?
CTC検査で必要なことは採血のみであり、体への負担が少なく安全な検査とされています。放射線や特定の薬剤も使用しないため、妊娠中の方や特定の薬を服用している方でも検査を受けることが可能です。安全性は一般的な血液検査と同様であり、多くの方に安心して受けていただけます。
CTC検査でがんの原発巣はわかりますか?
CTC検査では、血液中に流れているがん細胞(CTC)を検出できますが、がんの原発巣を特定することはできません。あくまで、がんの超早期の兆候を把握するためのスクリーニング検査として活用すると良いでしょう。
CTC検査はどのくらいの頻度で受けると良いですか?
健康な方であっても、年に1回を目安として定期的な検査が推奨されます。がんの治療中の方や既往歴がある方は、医師の判断に基づき、状況に応じた頻度で受けることが望ましいです。
まとめ

CTC検査は、体内にがん細胞が場合に血液中に存在する腫瘍由来の細胞「CTC(血中循環がん細胞)」を検出することで、超早期段階でがんリスクを把握できる先進的な検査です。画像診断では見逃されてしまう小さながん細胞であっても、存在する可能性を捉えることが可能です。
CTC検査は、がんの早期発見、治療効果の確認、再発や転移の発見に役立ちます。しかし、すべてのがんを100%検出できるわけではなく、他の検査によるデータとあわせて総合的に判断することが重要です。
CTC検査は、がんの家族歴がある方、がん治療中の方、再発リスクが心配な方に有力な検査手段です。検査は採血のみで済み、身体的な負担が少ないため、定期的に実施することにも適しています。保険適用外であり、費用は自費となりますが、より高精度な「マイクロCTC検査」も選択肢として注目されています。
また、CTC検査が陽性の場合、PET-CT検査や腫瘍マーカー検査など追加の精密検査を検討することも大切です。がんのリスクを早期に発見して、健康維持に努めましょう。
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