人間ドックでおすすめのオプションは?自分に合った選び方についても解説

人間ドックでおすすめのオプションは?自分に合った選び方についても解説

「勤務先の健康診断を毎年受けているけれど、最近B判定やC判定が増えてきた」「一般的な健康診断だけでは病気が見逃されることがあると耳にした」このようなことをきっかけに、人間ドックの受診を検討される方もいるのではないでしょうか。

しかし、人間ドックにはさまざまなオプション検査が存在するため、どの検査が適しているのか迷われる方もいるでしょう。そこで今回は、人間ドックのオプション検査の選び方を解説し、性別・年代や家族歴、症状などに応じたおすすめ検査を紹介します。

人間ドックとは?

人間ドックとは?

人間ドックとは、病気の発症につながる可能性がある身体の異常や、自覚症状のない病気を早期に発見するための総合的な診察・検査のことです。

人間ドックを定期的に受診することで、糖尿病の前段階から糖尿病への進行が少ないことや、がんの死亡率を低下させること、一般健診との費用差額を考慮しても医療費削減効果があることなどが報告されており、人間ドックが健康維持に有用であることが明らかとなっています。

人間ドックと健康とは切っても切れない関係といえるでしょう。

人間ドックの基本検査内容

人間ドックには、コースや追加できるオプションがさまざまですが、基本の検査項目としては以下のとおりです。

  • 身体計測(身長、体重、肥満度、BMI、腹囲)
  • 血圧
  • 心電図
  • 心拍数
  • 眼底検査
  • 眼圧検査
  • 視力
  • 聴力
  • 呼吸機能
  • 胸部X線
  • 上部消化管X線
  • 腹部超音波
  • 採血検査
  • 尿検査
  • 便検査
  • 問診、医師診察

参考:日本人間ドック・予防医療学会HP「2025年度 一日ドック・二日ドック基本検査項目

人間ドックのオプション検査内容

人間ドックでは、基本検査項目だけでは発見しにくい病気やリスクを見つけだすために、オプション検査を選択することもできます。遺伝や生活習慣などにより発病リスクの高い疾患がある方は、適切な検査を追加すると良いでしょう。

人間ドックのオプション検査と、発見できる疾患は以下のとおりです。

オプション検査発見できる疾患
上部消化管内視鏡(胃カメラ)胃炎、胃潰瘍、逆流性食道炎、胃がん、食道がんなど
マンモグラフィ乳がんなど
乳房超音波乳腺嚢胞、乳腺線維腺腫、乳がんなど
経膣超音波子宮がん、卵巣がん、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢胞など
子宮頚部細胞診子宮頚がんなど
胸部CT肺がん、肺結核、肺炎、気管支炎、気胸など
喀痰検査(喀痰細胞診)肺がん、咽頭がん、喉頭がん、肺結核、気管支炎、肺炎など
PET-CT甲状腺がん、咽頭がん、喉頭がん、肺がん、頭頚部がん、大腸がん、乳がん、膵臓がん、食道がん、卵巣がん、子宮体がん、悪性リンパ腫
脳血管障害(脳卒中、脳腫瘍など)、アルツハイマー型認知症、てんかん、パーキンソン病、心筋梗塞など
MRI脳:脳出血、脳梗塞、くも膜下出血など
上腹部:膵臓がん、肝臓がん、胆道がん、胆嚢炎、慢性肝炎など
心臓:狭心症、心筋梗塞など
前立腺:前立腺がんなど
子宮・卵巣:子宮がん、卵巣がん など
甲状腺超音波甲状腺がん、バセドウ病、橋本病など
骨密度骨粗しょう症など
腫瘍マーカー検査(PSA検査)前立腺がん、前立腺肥大症など

人間ドックのオプション検査の選び方

人間ドックのオプション検査の選び方

人間ドックには、基本検査とオプション検査をあわせると50~100項目の検査があります。数多くの選択肢から、自分に合った内容をどのように選べばよいか迷う方も多いでしょう。

人間ドックのオプション検査には、以下のような選び方があります。

  • 性別・年代に適したオプションを選ぶ
  • 身内に病気になった人がいる場合、家族歴に応じて選ぶ
  • 気になる症状がある場合、症状に応じて選ぶ
  • 生活習慣に応じたオプションを選ぶ

性別・年代別おすすめのオプション検査

性別・年代別おすすめのオプション検査

性別や年代によって、罹患しやすい疾患は異なります。人間ドックのオプション検査は、自身の性別や年代に適した検査を選ぶとよいでしょう。一般的に、30歳以降は人間ドックを受診することが推奨されています。

男性・30代

  • 上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査
  • 胃がんリスク検査(ABC検査)
  • 大腸内視鏡検査 など

30代の日本人男性で死亡率が高いがんは、胃がんと大腸がんです。胃がんリスク検査では、将来胃がんになりやすい状態かどうかを血液検査で判定します。胃がんのオプション検査を受けたことがない方では選択肢の一つとなるでしょう。

女性・30代

  • 経膣超音波
  • 子宮頸部細胞診
  • マンモグラフィ
  • 乳房超音波 など

子宮頸がん・乳がんは、若い世代でも発症リスクのある疾患です。 これらの疾患を早期発見できるオプション検査の追加をおすすめします。

男性・40代

  • 上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査
  • 大腸内視鏡検査
  • 喀痰検査
  • 胸部CT
  • 上腹部MRI
  • 上腹部CT
  • PET-CT など

40代になると、胃がん、大腸がんに加え、肺がん、膵臓がん、肝臓がんの発生が増加します。これらのがんを早期発見できるオプション検査をおすすめします。PET-CT検査は1度の撮影で全身の状態を調べることができ、早期がんの発見に有用です。

女性・40代

  • 経膣超音波
  • 子宮頚部細胞診
  • 子宮体部細胞診
  • マンモグラフィ
  • 乳房超音波
  • 上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査
  • 胃がんリスク検査(ABC検査)
  • 大腸内視鏡検査
  • 骨密度検査
  • PET-CT など

乳がんの罹患率は40代後半に最初のピークを迎えます。乳がんに関するオプション検査は40代女性には欠かせない検査の一つでしょう。また、40代になると子宮体がんの発症リスクも高まってきます。子宮体部細胞診の追加も検討するとよいでしょう。

この他、子宮がん、乳がんに加え、胃がんや大腸がんの発症リスクも高まります。これらのがんを早期発見するための検査や、全身のがんを検索できるPET-CTを検討するとよいでしょう。

さらに、女性は閉経後の50代から急激に骨密度が低下します。40代前半までは骨量が変化しにくいため、40代のうちに、自身の骨密度を把握しておくことをおすすめします。

男性・50代以上

  • 上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査
  • 大腸内視鏡検査
  • 喀痰検査
  • 胸部CT
  • 上腹部MRI
  • 上腹部CT
  • PET-CT
  • 脳MRI
  • 頸動脈超音波
  • 心臓MRI
  • 心臓超音波
  • PSA検査 など

50歳以上になると、がん全般の発症リスク、脳卒中(くも膜下出血、脳出血、脳梗塞)や心臓病の発症リスクが高まります。そのため、脳や心臓を詳細に調べるオプション検査の追加もおすすめします。

頸動脈超音波検査は、脳に血液を送る血管である頸動脈の様子を超音波で画像化し、動脈硬化の有無や程度を調べる検査です。動脈硬化は自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行し、脳梗塞や心筋梗塞などの命に関わる疾患を引き起こすこともあります。脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクも高まる50代以上では、追加を検討するべきオプション検査です。

また、前立腺がんの発症数が増え始めるのも50歳代からです。50歳以降はPSA検査も定期的に受けておくと安心でしょう。

女性・50代以上

  • 経膣超音波
  • 子宮頚部細胞診
  • 子宮体部細胞診
  • マンモグラフィ
  • 乳房超音波
  • 上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査
  • 大腸内視鏡検査
  • 喀痰細胞診
  • 胸部CT
  • 上腹部MRI
  • 上腹部CT
  • 骨密度検査
  • PET-CT など

50代以降は、全てのがんにおいて発症リスクが高まってきます。日本人女性のがん罹患数は乳房、大腸、肺、胃、子宮の順に多く、がん死亡数は大腸、肺、膵臓、乳房、胃の順に多いため、これらのがんを早期発見できるオプション検査を追加するとよいでしょう。

また、50代は子宮体がんの発症リスクがピークを迎える時期であり、子宮体部細胞診の追加をおすすめします。女性特有の疾患をまとめて検査できる「レディースドック」などを提供している医療機関もありますので、そのような中から比較検討するのも方法のひとつです。

家族歴・遺伝に応じたおすすめオプション検査

家族歴・遺伝に応じたおすすめオプション検査

人間ドックのオプション検査を検討する際には、家族歴も考慮するとよいでしょう。特定のがん、心臓病、脳卒中、認知症などの遺伝的要素が関わる病気を発症した近親者がいる場合、同じ病気に罹患するリスクが高くなるからです。以下に、家族が患った疾患別おすすめオプションを紹介します。

がん

  • 胃がん:上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査、胃がんリスク検査(ABC検査) など
  • 大腸がん:大腸内視鏡検査 など
  • 肺がん:胸部CT検査、喀痰細胞診 など
  • 乳がん:乳房超音波、マンモグラフィ など
  • 膵臓がん:腹部超音波、腹部CT、MRCP検査 など
  • 前立腺がん:腫瘍マーカー検査(PSA検査)など

近親者の患ったがん種に合わせた検査を追加するとよいでしょう。MRCP検査は、MRI装置を用いて胆管や膵管の状態を詳しく調べる検査で、膵臓がんや胆管・胆のうがんの早期発見に有用です。膵臓がんの家族歴がある方は、追加を検討するとよいでしょう。

人間ドックのオプションコースとして、PET-CTや腫瘍マーカー検査*を含む採血検査など、がんの検索に特化した検査をセットにし、がんドックとして提供している医療機関もあります。

腫瘍マーカー検査*:腫瘍マーカーは、主にがん細胞によって作られるタンパク質などの物質です。がんの種類や臓器によって産生される腫瘍マーカーが異なり、血液検査で特定の腫瘍マーカーの値が高値を示す場合、その腫瘍マーカーを産生するがんが疑われます。がんの診断や診断後の経過観察に補助的に用いられる検査です。

心臓病

  • 心臓MRI検査
  • 心臓CT検査(冠動脈CT検査)
  • 心臓超音波(エコー)検査
  • 頸動脈超音波(エコー)検査
  • 血圧脈波検査 など

心不全、狭心症、心筋梗塞、不整脈などの心臓病の家族歴がある方は、心臓を詳しく調べる検査の追加をおすすめします。医療機関によっては、一般的な人間ドックと心臓に関する各種検査をセットにした心臓ドックを提供している場合もあります。

脳卒中

  • 頭部MRI/MRA検査
  • 頸動脈超音波(エコー)検査 など

脳出血、くも膜下出血、脳梗塞などの家族歴がある方は、上記オプション検査の追加をおすすめします。これらの検査を組み合わせた脳ドックを提供している医療機関もあるため、受診の際に確認しましょう。

認知症

  • 頭部MRI/MRA検査
  • 頸動脈超音波(エコー)検査
  • 簡易認知機能検査
  • PET-CT など

認知症の家族歴のある方は、上記のオプション検査の追加を検討しましょう。がんの検査というイメージがあるPET検査も、認知症の早期発見に有用です。

認知症の検査方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
>>認知症は早期発見・早期治療が重要!初期症状や検査方法など解説

気になる症状に応じたおすすめのオプション検査

気になる症状に応じたおすすめのオプション検査

人間ドックでは、症状に応じたオプション検査を追加し、病気の早期の段階や、病気になる前の段階で異常を発見することが大切です。

気になる症状がある場合、病気のサインかもしれません。症状に応じたオプション検査の追加を検討しましょう。

胃の調子が悪い方

  • 上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査
  • 胃がんリスク検査(ABC検査)

胃痛や胃もたれなどの症状がある方は、胃がんや胃潰瘍などの疾患が隠れている場合があります。上記のオプション検査をおすすめします。

血圧や脂質、血糖値が高い方

  • 動脈硬化検査
  • 頸動脈超音波検査

健康診断などで、高血圧や高脂血症、高血糖を指摘された方は、動脈硬化が懸念されます。上記のオプション検査を受けるとよいでしょう。

お腹周りが出てきた方

  • 内臓脂肪測定CT検査
  • アディポネクチン検査
  • 動脈硬化検査
  • 頸動脈超音波検査

お腹周りが出てきた方は、内臓脂肪や動脈硬化について詳しく調べることをおすすめします。内臓脂肪測定検査は、お腹周りの内臓脂肪の面積を測定できる検査で、隠れ肥満の早期発見にも役立ちます。

また、内臓脂肪が多くなると、アディポネクチンというホルモンの分泌が減り、動脈硬化や糖尿病の発症リスクが高まります。アディポネクチン検査も併せて受けておくと安心です。

疲れやすい・むくみ・動悸などの症状がある方

  • 甲状腺機能検査
  • 甲状腺超音波検査

疲れやすい・むくみ・動悸・手の震えなどの症状は、甲状腺の病気のサインかもしれません。上記のオプション検査の追加を検討するとよいでしょう。

甲状腺機能検査は、バセドウ病や橋本病など甲状腺ホルモンの異常により引き起こされる疾患を調べる採血検査です。甲状腺超音波検査では、甲状腺のサイズや形、内部に腫瘍がないかなどを調べます。

もの忘れが気になる方

  • 頭部MRI/MRA検査
  • 頸動脈超音波(エコー)検査
  • 簡易認知機能検査
  • PET-CT など

もの忘れが気になる方は、認知症などの脳の疾患の発見に有用な上記オプション検査の追加がおすすめです。

生活習慣に応じたおすすめのオプション検査

生活習慣に応じたおすすめのオプション検査

人間ドックのオプション検査は、生活習慣に応じて追加することも大切です。生活習慣が病気の発症に関連する場合があるからです。以下に生活習慣別おすすめオプションを紹介します。

喫煙習慣がある/あった・副流煙に晒される機会が多い方

  • 喀痰検査
  • 胸部CT
  • 腫瘍マーカー検査
  • PET-CT
  • 上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査
  • 胃がんリスク検査(ABC検査) など

非喫煙者に比べて喫煙者は男性では4.5倍、女性では4.2倍肺がんになりやすいことが報告されています。肺がん以外には、口腔・咽頭がん、喉頭がん、鼻腔・副鼻腔がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、子宮頸がん、膀胱がんで、喫煙との因果関係が明らかになっています。

肺がん検査に加え、全身のがんを検索できるPET-CT検査や、PET-CTでは発見しにくい胃がん検査などを、必要に応じて追加するとよいでしょう。

お酒をよく飲む方

  • 上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査
  • 胃がんリスク検査(ABC検査) など

過度な飲酒は胃がんの発症リスクを高めることがわかっています。お酒をよく飲む方は、上記オプションの追加をおすすめします。

塩分摂取量の多い方

  • 上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査
  • 胃がんリスク検査(ABC検査) など

多量の塩分摂取は胃がんの発症リスクを高めるといわれています。1日あたりの塩分摂取量の目標値は、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満とされています。これらの目標値を参考に、塩分摂取量が多い方は、上記オプション検査の追加を検討しましょう。

過食・運動不足の方

  • 内臓脂肪測定CT検査
  • アディポネクチン検査
  • 動脈硬化検査
  • 頸動脈超音波検査

過食や運動不足は動脈硬化の発症リスクになります。上記オプション検査の追加をおすすめします。

まとめ

人間ドックは自覚症状のない状態でも病気を発見できる可能性の高い総合的な検査

人間ドックは、自覚症状のない状態でも病気を発見できる可能性の高い総合的な検査です。一般的な健康診断よりも検査項目が多く、医師や保健師、管理栄養士などの専門スタッフから直接アドバイスを受けることもできるため、健康維持に有用です。

人間ドックでは、基本検査項目だけでは発見しにくい病気やリスクを見つけだすために、オプション検査を追加することもできます。オプション検査を選ぶ際は、性別・年代や家族歴、気になる症状や生活習慣を考慮するとよいでしょう。多くの検査のなかから自分に適したオプション検査を選ぶことは、自身の健康状態を的確に把握するための重要なポイントです。

人間ドックを定期的に受診するだけでなく、ご自身にあったコースやオプションを選択し、健康維持と病気の早期発見に役立てましょう。

セントラルクリニック世田谷では、PET-CTやMRIなど高精度の医療機器を導入し、質の高い人間ドックを提供しております。全身の検査はもちろんのこと、がん検査に特化したコースや脳ドック、痛みの少ないレディースドックもございます。人間ドックの受診先をお探しの方は、当院へお気軽にご相談ください。

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