日帰り人間ドックの時間はどれくらい?主な検査項目や前日〜当日の流れなど解説
「人間ドックを受けなければならない」と思いながら、なかなか時間を取ることができずに受診できない方も多いのではないでしょうか。仕事や日常生活で忙しい方にとって、人間ドックにかかる時間は気がかりのひとつでしょう。そんな方におすすめなのが日帰り人間ドックですが、待ち時間や検査後の安静時間などによって所要時間が想像以上に長引く場合もあります。
この記事では日帰り人間ドックの所要時間や検査項目、前日から当日の流れについてお話しします。検査を受ける時間帯による食事制限の違いや、受診する際の注意点についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
人間ドックのタイプ
人間ドックには日帰り人間ドックと宿泊人間ドックがあり、それぞれ所要時間やスケジュールが異なります。詳しく見ていきましょう。
日帰り人間ドック
日帰り人間ドックは、1日の受診で全ての検査を完了するタイプです。内容は主に基本項目とオプション検査、結果説明などで、おおよそ半日の時間で終えることができます。
短時間で効率的に健康チェックができるという利点がありますが、一部の精密検査や負荷のかかる検査は含まれないことが多いです。平日の午後の時間帯に受診できたり、結果説明を後日自宅に郵送してもらえる医療機関もあり、仕事や日常生活で忙しい方にとって受診しやすいシステムになっています。
宿泊人間ドック
宿泊人間ドックは1泊2日以上の日程でおこなわれます。日帰り人間ドックよりも詳細な健康診断で、検査時間はプランや項目数によってさまざまです。2日間かけて全身をしっかり調べるスケジュールや、1日目に検査の大半を終わらせて2日目は午前中に終わるスケジュールもあります。
宿泊人間ドックは日帰りでは難しい時間のかかる検査を受けられたり、時間に余裕をもって受診できたりする利点があります。費用は高額になりやすいですが、1日目の検査が済んだ後は、提携しているホテルや病院の専用フロアに宿泊でき、リフレッシュを兼ねて検査を受けられるのが利点です。
日帰り人間ドックの所要時間
日帰り人間ドックの所要時間は2~5時間ほどです。所要時間は受診する医療機関の混み具合や検査項目の数によって変わり、内容によっては検査の間に昼食をはさむこともあります。
子宮がん検査や乳房X線検査(マンモグラフィ)、脳ドックなどのオプションが入ると30分〜1時間ほど時間が追加になる可能性が高いです。また、上部消化管X線検査(胃バリウム検査)ではなく上部消化管内視鏡検査(胃カメラ検査)を選択すると、検査後に安静時間が必要になります。
日帰り人間ドックの検査項目
日帰り人間ドックの検査項目は主に日本人間ドック・予防医療学会で定められている基本項目と、本人が希望したオプション項目です。医療機関のなかには「脳ドック」や「レディースドック」など、受けたいオプション項目が半日ほどの時間で終えるようなプラン設定もあります。
日本人間ドック・予防医療学会で定められている人間ドックの検査項目は以下の通りです。
【基本項目】
- 身体計測(身長、体重、BMI)
- 血圧測定
- 心電図検査
- 眼機能検査(視力、眼圧、眼底)
- 聴力検査(低音域と高音域の聴力)
- 呼吸機能検査
- 胸部X線検査
- 胃バリウム検査(※)
- 胃カメラ検査(※)
- 腹部超音波検査
- 血液検査(肝臓系、腎臓系、尿酸、脂質系、糖代謝系、血球系、感染症系)
- 尿検査(尿蛋白、尿糖、尿沈渣、尿潜血)
- 便潜血の検査
- 内科診察
(※)胃部の検査は胃バリウム検査か胃カメラ検査のどちらかを選択する必要がある。
【オプション検査】
- マンモグラフィ
- 前立腺検査(血液検査)
- C型肝炎(血液検査)
- 子宮頸部細胞診
医療機関によってはこれら以外にも幅広いオプション項目が設定されているため、人間ドックの検査数は全てで50〜100項目に及びます。
年代別のおすすめのオプション項目は以下の記事に解説していますので、気になる方はご覧ください。
>>人間ドックと健康診断の違いとは?検査項目や費用を比較
【医療機関独自のオプション項目の例】
- 頭部MRI検査
- 各腫瘍マーカーの検査
- 骨密度検査
- B型肝炎ウイルス検査
- 喀痰細胞診
- 大腸CT検査
- 認知症検査
- 3Dマンモグラフィ
- 乳房自動超音波検査
- PET-CT検査(※)
(※)PET-CT検査:がん細胞にブドウ糖が集まる性質を利用し、静脈からFDG(放射線フッ素を付加したブドウ糖)を注射した後、CT検査で全身を画像化してがんの分布を確かめる検査のこと。
詳しくは以下の記事もご覧ください。
>> PET-CTとは?費用や検査でわかることなど徹底解説
日帰り人間ドックの前日の過ごし方や注意点
日帰り人間ドックの前日は提出書類を記入したり、便を採取したりする必要があります。食事やアルコールの摂取、激しい運動、一部の服薬など、指定された時間帯から制限する必要もあるため必ず従いましょう。
提出書類の記入
人間ドックに必要な検査の同意書や問診票の記入は、前日までに済ましましょう。検査の前後でトラブルのないように、事前に説明書をよく読んで、検査の流れや注意点について理解しておく必要があります。また、問診票を事前に記入しておくと、当日の所要時間の短縮につながります。
便の採取
人間ドックの便潜血検査では、前日と当日の便の採取が必要になります。採取してから時間が経った便では出血の有無を正確に検出できなくなるため、できるだけ新しいものが望ましいです。便秘などで前日と当日の採取が難しい場合は、数日前から2日分採取し、冷蔵庫などに保管する必要があります。
食事やアルコールの制限
人間ドックを午前中に受ける場合、食事や水以外の飲料は前日の21時(大腸内視鏡検査がある場合は19時)の時間帯から控えてもらうケースが多いです。それ以降の時間に摂取すると、胃バリウム検査や胃カメラ検査、腹部超音波検査、血液検査の肝臓系や尿酸、脂質系などに影響を及ぼす可能性があります。水分の摂取は、検査の2〜3時間前から控える必要があります。
運動の制限
人間ドックを受ける場合、前日はサッカーやバスケットボールなどの激しい運動はできるだけ控えましょう。激しい運動をした後は肝機能や腎機能に影響が及び、肝臓系の血液マーカーに異常値がでたり、蛋白尿が認められたりする可能性があります。どうしても運動したい場合は、ウォーキング程度にとどめましょう。
内服薬の制限
毎日飲んでいる薬がある場合は、事前に医療機関に相談するか、説明書の内容に従ってください。常用薬は当日の指定された時間帯までなら内服しても良いケースが多いですが、糖尿病の薬などは血糖値の値に影響するため、前日の夜の時間帯から内服を控えてもらう必要があります。
日帰り人間ドックの当日の流れ
日帰り人間ドックの検査の流れは以下の通りです。当日の所要時間の参考にしてください。
受付と更衣
当日は予約時間までに来院して受付し、前日までに採取した便や書類を提出した後に検査着に着替えます。人間ドックは事前予約が必要な医療機関がほとんどです。
尿検査
検査着に着替えた後は、各検査に呼ばれるまでの時間に尿検査をおこないます。当日生理中の女性は、後日に提出してもらうことになるため注意しましょう。医療機関ではなく、当日の起床直後に自宅で尿を採取してもらうこともあります。
問診・負担の少ない検査
人間ドックの検査は専門機器を使用しない身体に負担のない検査から始めます。問診や身体測定、血圧測定、視力検査、採血などをおこないます。
専門機器を使用する検査
心電図検査や眼圧・眼底検査、聴力検査、呼吸機能検査、腹部超音波などの専門機器を使用する検査をおこないます。検査者の指示に沿って検査をすすめていくため、大きく注意すべき内容はありません。
画像検査
胸部X線検査や胃バリウム検査などをおこないます。妊娠中や妊娠の可能性がある人は、胎児へ影響する可能性があるため、事前に必ず申告してください。
内視鏡検査
胃カメラ検査をする場合は、麻酔をする必要があるため後半の時間帯におこなうことが多いです。鼻や喉の局所麻酔や鎮静剤を利用するため、検査後は麻酔が切れるまで安静時間を設ける必要があります。
医師による結果説明
全ての検査が済んだ後の時間は医師による結果説明や生活指導のアドバイスがあり、精密検査が必要な場合はこのときに指示されます。結果の一部を説明してもらった後、1〜2週間後に全ての結果を郵送してもらえる医療機関もあります。
専門家による指導
生活における運動や食事など、看護師や保健師、管理栄養士などの医療者にアドバイスしてもらいます。検査結果を確認しながら日々の生活習慣について振り返り、健康維持や疾病の予防のためにどの内容を改善できるか考えていきます。
更衣とお会計
検査着から着替え、お会計を済ませて完了です。
日帰り人間ドックの午前受診と午後受診の違い
日帰り人間ドックの午後受診は、午前受診と違って検査まで時間が空くため、当日の朝食が制限されない可能性があります。医療機関によっては食パンやゼリー飲料などの軽い食事なら許可してもらえることも多いです。また、人間ドックは午前中に受診する人が多い傾向にあるため、午後に受診すると待ち時間が短い可能性もあります。
日帰り人間ドックが終わった後の過ごし方
日帰り人間ドックで胃バリウム検査や胃カメラ検査を受けた後は、食事や行動などで注意すべき点があります。検査の注意事項に記載している内容をよく読んだうえで、検査者の指示に従うことが大切です。
胃バリウム検査を受けた場合
日帰り人間ドックで胃バリウム検査をした場合は、バリウムを排出させるため、時間をかけて水分を多く摂りましょう。バリウムは粘度が高く時間が経つと固まりやすいため、下剤と共に水分を多く摂取して体内から便として排出させる必要があります。アルコールやカフェインを含む飲料は利尿作用を持ち、便の形成が抑制されるため翌日まで控えてください。
胃カメラ検査を受けた場合
胃カメラ検査を受けた場合は、麻酔が切れる時間まで30分~2時間ほど飲食できません。その後の時間は食事や飲料の制限はありませんが、胃カメラ検査と同時に組織を採取した場合は脂っこい食べ物やアルコールは控えて消化に良いものを摂取しましょう。鎮静剤を投与した場合は、激しい運動や作業の制限が指示されることもあります。
日帰り人間ドックの注意点
日帰り人間ドックには以下の注意点があります。
- 待ち時間が発生することがある
- 受けられない検査がある
- 検査の時間に加えて安静時間も必要
- 宿泊や食事などのサービスが受けられない
当日は検査以外にも待ち時間や安静時間が必要になるため、時間に余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
待ち時間が発生することがある
日帰り人間ドックは予約制の医療機関がほとんどですが、繁忙期などは待ち時間が発生する可能性があります。繁忙期を避けた12月〜5月ごろや午後の受診を選択すると、検査がスムーズにすすみやすいでしょう。待ち時間に仕事をしたい場合は、スマートフォンやパソコンなどの使用エリアが定まっている可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
受けられない検査がある
日帰り人間ドックは検査時間が限られるため、希望する検査が全て受けられない可能性もあります。日帰り人間ドックで受けられる検査は医療機関によって異なり、宿泊人間ドックと選択できるオプション項目も異なります。
脳MRI検査や喀痰細胞診、骨密度検査、大腸内視鏡検査、負荷心電図、ホルター心電図、PET-CT検査など、より詳細な検査は受けられないこともあるため、予約時に確認しておきましょう。
検査の時間に加えて安静時間も必要
胃カメラ検査で鎮静剤を使用した場合は、検査時間に加え安静時間も必要になります。鎮痛剤が切れた後は覚醒後の注意力の低下や眠気が起こることがあるため、医療機関で1~2時間ほど休む必要があることを知っておきましょう。帰宅する時間帯は自家用車や自転車などの運転を控えて、公共交通機関を利用することをおすすめします。
宿泊や食事などのサービスが受けられない
日帰り人間ドックでは宿泊はもちろん、食事などのサービスも受けられないことがあります。ゆっくり時間を使って豪華な宿泊や食事のサービスを受けたい方は、宿泊人間ドックを検討するのも良いでしょう。
まとめ
日帰り人間ドックの所要時間は2〜5時間ほどで、半日で大半の検査が済むことが多いです。検査内容は主に基本項目とオプション項目から成り立ち、検査できる項目数は限られています。
人間ドックの前日は食事やアルコールの摂取、激しい運動、一部の内服の制限があるため、必ず指示に従いましょう。胃バリウム検査や胃カメラ検査を受けた場合、検査後も食事やアルコールの摂取などに制限があります。日帰り人間ドックは指定された所要時間以外にも、待ち時間や安静時間が発生する可能性があるため、時間に余裕を持ってスケジュールを立てると良いでしょう。
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