心臓ドックとは?検査でわかることや費用、受けた方がいい人の特徴など解説

心臓ドックとは?検査でわかることや費用、受けた方がいい人の特徴など解説

動悸や息切れ、胸の痛みなど、ちょっとした症状があると「気のせいかな」と思いながらも、どこか不安を感じることがありますよね。

「心臓の検査を受けてみようかな」「人間ドックで詳しく調べてみたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、心臓ドックでわかることと費用相場、心臓ドックを受けた方がいい人の特徴などを解説します。心臓ドックの受診を検討している方や、心臓の病気に対して不安がある方はぜひお読みください。

心臓ドックとはどのような検査?

心臓ドックとはどのような検査?

心臓ドックとは、心臓の機能や心筋・血管の働きなどを専門的に調べる検査コースです。

心臓は血液を循環させる「ポンプ」の役割を持ち、血液を通してさまざまな臓器や筋肉に酸素と栄養を届ける臓器です。心臓の機能に異常が発生すると血液循環がうまくできなくなり、命にかかわる事態に発展するおそれもあります。

心臓ドックを受診すると、心臓の異常や病気のリスクを調べることが可能です。心臓の病気のリスクを把握すれば予防などの対策が取りやすくなり、病気を発症している場合も早い段階で治療を始められます。

心臓ドックと人間ドックの違い

心臓ドックは、人間ドックのうち心臓に特化した検査項目を組み合わせたコースの名称です。

人間ドックとは、病気の早期発見や発症リスクの把握を目的としておこなう、全身の総合的な検査の名称です。身長・体重・BMIなどを調べる身体計測をはじめ、血圧測定・心電図検査・眼科検診・聴力検診・胸部X線検査・腹部超音波検査など、さまざまな検査内容が含まれます。

一方、心臓ドックは心臓の検査に特化している点が主な違いです。人間ドックでも心電図などの検査はおこなうものの、心臓ドックでは心臓に関する多角的な検査をおこなうため、より詳細に心臓の状態を調べられます。

なお、医療機関によっては心臓ドックを独立した検査コースではなく、人間ドックに追加できるオプション検査として用意している場合があります。心臓ドックを受診する際は、医療機関がどのような形式で心臓ドックを提供しているかを調べるとよいでしょう。

心臓ドックの主な検査とわかること

心臓ドックの主な検査とわかること

心臓ドックのコースに含まれる検査内容は、受診する医療機関によって違いがあります。どのような検査内容があるかによってわかる情報が異なるため、受診前に検査内容を把握しておくことがおすすめです。

以下では心臓ドックの主な検査内容と、それぞれの検査からわかることを解説します。

心電図検査

心電図検査は、心臓の筋肉を動かしている電気の流れを調べる検査です。検査する際は、ベッドに寝そべった状態で四肢と胸部に電極を装着して、電気の流れをモニターで記録・確認します。

心電図検査でわかることは、心臓から発せられる電流が規則的であるかどうかです。心臓の拍動が乱れる「不整脈」は、心臓の筋肉を動かす電流が不規則になるため心電図検査で簡単に診断できます。「心筋梗塞」「狭心症」も心臓の電流の波形に異常が生じるため、心電図検査が判別を得意とする病気です。

ただし、不整脈や心筋梗塞・狭心症は症状が起こったときにのみ心電図の波形が変化することがあります。他にも、心電図の波形に変化が現れない病気の判別はできないため、「心電図検査で正常=健康」というわけではない点に注意してください。

血液検査

心臓ドックにおける血液検査では、採取した血液中の成分を分析して、心臓の機能に異常が発生していないかを調べます。採血は静脈からおこない、血液を分析装置にかけて各種成分を測定します。

心臓ドックの血液検査でよく調べられる成分がBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)です。BNPは心室から分泌されるホルモンで、心臓への負荷が大きいほど多く分泌される特徴があります。BNPの測定により、心不全のリスクを調べることが可能です。

その他に、NT-proBNPやANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)といった成分も、心臓への負担を調べるときに測定します。

また、心筋の障害を調べるときにはTnT(トロポニンT)やTnI(トロポニンI)の量を測定します。どちらも心筋が障害を受けたときに血中濃度が高くなる成分であり、心筋梗塞のリスクや進行度を調べることが可能です。

心臓超音波検査(心エコー検査)

心臓超音波検査(心エコー検査)は、心臓に超音波を当てて心臓内部を映像化し、リアルタイムで心臓の様子を調べる検査です。ベッドに寝そべった状態で、胸部に探触子(プローブ)を当てて検査をおこないます。

心臓超音波検査は心臓の様子をモニターで観察できるため、心臓の形態(心臓の大きさや壁の厚みなど)、動き、血液の流れを詳細に調べられることが特徴です。特に弁膜症の診断を得意としていて、弁が開きにくくなる狭窄や、反対に弁を閉じられず血流が逆流する閉鎖不全をモニター上で観察できます。

冠動脈CT検査

冠動脈CT検査は、X線を用いた画像検査によって冠動脈を撮影する検査です。画像を鮮明にするための造影剤を注射しながら、CT装置で撮影を行います。

冠動脈CT検査でわかることは、心臓に酸素と栄養を送る血管である冠動脈の状態です。冠動脈に起きている動脈硬化の程度や、狭窄の状態を画像から調べられ、狭心症や心筋梗塞のリスクを評価できます。

冠動脈を調べる検査には、カテーテルを心臓の血管まで挿入する「心臓カテーテル検査」もありますが、患者さんにとって心理的ハードルが高いデメリットがあります。

冠動脈CT検査はカテーテルの挿入がないため、比較的安心して受けられる検査といえます。

心臓MRI検査

心臓MRI検査は、磁気を利用して身体内部の撮影ができるMRI装置により、心筋や冠動脈を撮影する検査です。検査ではMRI装置に入り、数回の息止めをしながら撮影をおこないます。

心臓MRI検査でわかることは、冠動脈の状態や心筋の血流分布、左心室の壁運動などです。画像は高いコントラストで撮影できるため、心臓の機能や動きを鮮明に捉えて評価できます。冠動脈の動脈硬化による狭心症への影響や心筋虚血、心臓の構造的な異常を診断するときに活用される検査です。

また、心臓MRI検査でおこなわれる検査のいくつかは、造影剤を使用せずに鮮明な画像を撮影できます。放射線被ばくもないため、身体的な負担が少ない点も心臓MRI検査のメリットです。

心臓ドックを受診するときの費用相場

心臓ドックを受診するときの費用相場

心臓ドックの費用相場は、基本的な検査コース(心電図検査・血液検査・心臓超音波検査など)で2万~5万円です。冠動脈CT検査や心臓MRI検査を含む検査コースでは、費用が高くなるケースが一般的です。

ただし、心臓ドックの検査内容は医療機関ごとに違いがあり、かかる費用も医療機関によって異なります。検査項目が増えたり検査機器の精度が高くなったりすると費用も上がる傾向にあり、検査費用が20万円を超える場合もあります。

また、心臓ドックの検査費用は、原則として保険適用ができないことを押さえる必要があります。健康保険による医療費の一部負担が利用できず、検査費用は自己負担となる点に注意してください。

健康保険組合や市区町村などから補助金が出る場合も

心臓ドックの検査費用は原則自己負担になるものの、所属する健康保険組合や会社、居住する市区町村によっては補助金が出る場合もあります。

補助金の金額は1万~3万円が相場です。検査費用が2万~5万円であれば、補助金を利用した場合に自己負担を半額程度まで減らせるため、心臓ドックの受診を検討している方はチェックするとよいでしょう。

例として、東京都大田区では人間ドックの受診費用を助成する制度が用意されています。対象の検査項目を漏れなく実施するなど各種条件があるものの、検査コースの名称が心臓ドックや脳ドックであっても利用できる制度です。

参考:大田区ホームページ「人間ドック受診助成

心臓ドックを受けた方がいい人の特徴

心臓ドックを受けた方がいい人の特徴

心臓ドックは、一般的に50歳以上になったら受けることが推奨されています。心臓病の発症リスクは50歳前後で高くなり、心臓ドックでの病気の早期発見・治療による高い効果が期待できるためです。

しかし、「50歳以上であること」のほかにも、心臓ドックを受けた方がいい人の特徴はいくつかあります。

最後に、心臓ドックを受けた方がいいとされる6つの特徴と、受診が推奨される理由を解説します。

生活習慣病の診断を受けている

生活習慣病の診断を受けている方は、心臓ドックを受診した方がよいでしょう。

生活習慣病とは、食事や運動、喫煙・飲酒などの生活習慣が発症と進行にかかわる疾患群のことです。生活習慣病には糖尿病や脳血管疾患、高血圧などの病気・症状があり、心臓の病気を指す「心疾患」も含まれています。

発症している疾患の種類によってリスクは異なるものの、生活習慣病と診断された方は心臓の病気に注意すべきといえます。心疾患はもちろん、糖尿病・高血圧・脂質異常症も心臓の病気のリスクを高める要因です。

特に、さまざまな心臓病の発症にかかわる動脈硬化は、喫煙や飲酒などの生活習慣が危険因子とされています。生活習慣病と診断された方は心臓ドックを受診するとともに、生活習慣の改善に努めましょう。

喫煙の習慣がある

喫煙は虚血性心疾患の発症・死亡リスクを高めるという研究結果があります。喫煙の習慣がある方は心臓ドックの受診がおすすめです。

虚血性心疾患とは、冠動脈の狭窄で心筋に酸素と栄養が届かなくなることで発症する病気の総称です。冠動脈の狭窄が起こる主な原因は動脈硬化であり、喫煙によって発生する動脈の炎症や収縮が動脈硬化を引き起こすと考えられています。

また、非喫煙者であっても受動喫煙の機会が多いと、虚血性心疾患のリスクが高まります。周囲に喫煙する方が多い場合も、心臓ドックを受診して心臓の健康状態を確かめるとよいでしょう。

参考:厚生労働省ホームページ「喫煙と循環器疾患

普段ストレスを感じることが多い

ストレスは心臓の不調を招く要因の1つです。仕事や学校、家庭などでストレスを感じることが多い方は、心臓ドックを受けた方がよいでしょう。

ストレスが心臓に影響する理由は、強いストレスによって自律神経のバランスが崩れるためです。

自律神経は身体活動を活発化させる「交感神経」とリラックスさせる「副交感神経」があり、2つがバランスを保つことで身体活動を制御しています。

しかし、ストレスが加わると交感神経が優位になり、身体を興奮状態にするために心拍数や脈拍を高めようとします。結果として心臓に大きな負担がかかり、心臓の不調や発病に至る可能性があるのです。

ストレスを自覚している方はもちろん、周囲からストレスによる心身への影響を指摘された方も、心臓ドックの受診をぜひ検討してください。

胸や背中に痛みを感じたことがある

「安静にしていても胸にチクチクとした痛みがある」「肩から背中にかけて痛みや凝りを感じる」といった症状は、心臓病の前兆の可能性があります。胸や背中に痛みを感じたことがある方は心臓ドックを受診して、心臓に異常が起きていないかを検査しましょう。

胸や背中の痛みが心臓と関係していると考えられる理由は、心臓の異常による痛みが周囲の神経に伝わる場合があるためです。本来の痛みがある部位とは異なる部位で感じる痛みは放散痛と呼ばれ、「ただの疲れによるものだろう」と放置すると、原因部位で発生している異常を見逃すおそれがあります。

特に、痛みが時間経過で緩和せずに持続・悪化したり、息切れや胸部の圧迫感を伴ったりしている場合は心臓病の可能性が高いとされています。なるべく早くに心臓の検査をした方がよいでしょう。

家族や親類に心臓の病気になった人がいる

心臓の病気の中には、家族などの近親者に遺伝する病気があります。家族や親類で心臓の病気になった人がいる場合は、自分も遺伝している可能性を考えて心臓ドックを受診することがおすすめです。

遺伝性がある代表的な心臓の病気としては、下記の3つが挙げられます。

遺伝性不整脈心筋細胞の遺伝子変異によって起こる不整脈の症状です。
肥大型心筋症高血圧や弁膜症などの要因がないにもかかわらず、心筋の肥大が発生する病気です。
先天性QT延長症候群心電図のQT時間が生まれつき長く、心室頻拍や心室細動による失神・突然死のリスクがある疾患です。

遺伝性の心臓の病気が心配な方は、医療機関側に家族歴を伝えたうえで心臓ドックを受診するとよいでしょう。

心臓に負担がかかるスポーツをしている

一般的に、スポーツなどの運動は健康に良い影響を与えるといわれています。しかし、激しい運動は心臓に大きな負担がかかり、心臓の病気を招く要因となるおそれがあるため注意してください。

心臓に大きな負担がかかるスポーツとしては、マラソンや登山などの持久力が要求されるものがあります。過度な筋力トレーニングも心臓への負担が大きい運動です。

スポーツ後に息切れや動悸を感じた経験がある方は、心臓ドックで心臓に問題がないかをチェックした方がよいでしょう。

まとめ

心臓ドックは、人間ドックにおける検査コースの一種

心臓ドックは、人間ドックにおける検査コースの一種です。心電図検査や心臓超音波検査・冠動脈CT検査などにより、心臓の機能や働きを専門的に調べます。

検査内容は医療機関によって異なるため、費用にも幅があるものの、2万~5万円が相場とされています。

心臓病の発症リスクが高くなる50歳以降の方や、生活習慣病と診断された方、普段からストレスを感じている方、胸や背中の痛みがある方など、ご紹介した特徴がある方は心臓ドックの受診がおすすめです。

セントラルクリニック世田谷では、「がん」「心疾患」「脳血管疾患」などの病気の早期発見を目的とした、高精度な人間ドックをご提供しております。

全身を詳しく検査できる各種コースに加えて、オプションで追加できる心臓の検査も用意しておりますので、心臓の健康状態が気になる方はお気軽に当院へお問い合わせください。

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