健康診断で要検査と言われたらどうするべきか
健康診断の結果、「再検査」「要精密検査」などと書いてあると、重大な病気にかかっているのではないかと心配になり、再検査を受けるのも怖くなってしまいますよね。
しかし、それらのすべてが病気の可能性を示唆しているものではないことをご存知でしょうか。
この記事では、「再検査」「要精密検査」の意味や、どのように対処すべきかを解説します。健康診断で要検査といわれ不安がある方や、どうすれば良いかわからず困っている方は、ぜひ参考にして再検査を受診するようにしてください。
健康診断における判定区分
健康診断の判定区分は、一般的にはアルファベットで記載されます。AからEの5段階で、異常なしの場合はA、異常値(一定の基準値から外れている数値)があった場合はBからEいずれかの判定となります。
A:異常なし
B:軽度の異常
C:要再検査
D:要精密検査
E:現在治療中もしくは経過観察中
再検査と精密検査の違い
健康診断で異常値が見つかった場合、医師から「要検査」として、「再検査」または「精密検査」を勧められることがあります。再検査と精密検査には違いがあり、それぞれ異なる目的でおこなわれます。
以降で、再検査と精密検査の違いについて説明します。
再検査とは
再検査とは、健康診断で実施した検査を繰り返しておこなうことです。採血検査の再検査や、レントゲン撮影の再撮影などが該当します。
再検査は、検査結果に疑義がある場合や、異常値が一時的な変動の可能性がある場合におこなわれます。例えば、採血検査で肝機能値が高めだった場合、直近の生活習慣や一時的な体調不良が原因の可能性があります。そこで再検査を行い、継続して異常値が見られれば、より詳しい検査に移行する必要があります。
再検査は検査機関によって異なりますが、比較的簡便な方法が用いられます。費用面でも抑えられているため、まずは再検査から始めることが多いでしょう。
再検査をおこなうメリットは、前回の検査結果を確認できる点にあります。数値が一過性の変動であれば、再検査の結果が正常値に戻ることが期待できます。異常値が継続した場合でも、その変化の経過から、より深刻な状態かどうかを判断する手がかりになります。
精密検査とは
精密検査とは、より詳しく身体の状態を調べるための検査のことを指します。CTスキャンやMRI、内視鏡などの高度な検査方法が用いられ、疾患の有無や原因を特定することを目的としています。
精密検査には、内臓の詳細な画像を撮影するCT検査やMRI検査、消化管の状態を直接観察する上部消化管内視鏡検査や大腸内視鏡検査などがあります。検査の種類は異常の内容によって異なり、専門の医師が判断して指示します。
精密検査は費用が高額になる傾向にありますが、健康保険が適用される場合が多く、自己負担額は一定範囲に抑えられます。しかし、異常の重症度によっては自己負担が増えるケースもあります。
精密検査を受けるメリットは、異常の原因や進行度合いを細かく診断できる点にあります。がんなどの病変の有無を視覚的に確認でき、早期発見につながります。また、精密検査の結果を踏まえて、最適な治療法を選択できるようにもなります。
健康診断の要検査は無視しても大丈夫?
健康診断で要検査といわれたら、不安な気持ちから先送りにしてしまおうかと考える方もいらっしゃることでしょう。
しかし、健康診断で「要検査」と指摘されたら、無視せずに必ず対応することが重要です。何らかの病気に罹患しているにもかかわらず、それに気が付かないまま要検査の状態を放置すれば、病状が重症化するリスクがあるためです。
がんなどの生命に関わる疾患の場合、早期発見・早期治療が何より大切となります。がんが進行すれば、治療の選択肢が少なくなったり難しくなったりする恐れがあります。
また、生活習慣病でも、未治療のまま放置すれば合併症のリスクが高まります。例えば糖尿病で血糖値のコントロールが不十分だと、神経障害や腎不全、場合によっては失明に至るケースもあります。
健康診断で要検査と指摘された際は、できる限り早期に医療機関を受診しましょう。万が一病気があった場合、早期発見で適切な治療を受ければ、病状の進行を抑えられる可能性が高くなります。
こうした重大な健康リスクを回避するためにも、要検査の診断を軽視することなく、適切に対応することが不可欠です。
自身の健康は何物にも代えがたい大切なものです。要検査を無視せずに、あらためて病院を受診することが賢明といえるでしょう。
健康診断で要検査と言われたらどこの病院を受診すべき?
健康診断で要検査と指摘された際、次はどこの病院を受診するべきかという疑問が出てくるでしょう。そこで、受診すべき病院の種類とその特徴を解説します。
健康診断を受けた病院
一番スムーズなのは、健康診断を受けた病院や検査機関を受診することです。検査の結果を把握しているため、円滑に再検査や精密検査へ移行できます。診療科をまたぐ場合でも情報の共有が容易で、スムーズな流れで検査を受けられるメリットがあります。
さらに、健康診断を受けた病院であれば、これまでの経緯を踏まえた上で、適切な医療機関を紹介してもらえます。別の病院での要精密検査が必要となった場合でも、専門性の高い病院を案内してくれるため、治療に早く取りかかれるといった利点もあります。
総合病院
総合病院を受診するメリットは、さまざまな診療科が揃っていることです。健康診断で異常値が見つかり、さらに原因が特定された場合、その疾患に対応する専門診療科を受診できます。
例えば、健康診断のレントゲンで肺に陰影があり、精密検査でがんが発見された場合は、総合病院の呼吸器内科を紹介されることになります。
また、総合病院では、高度な検査機器が整備されていることが多く、的確な検査を受けられる環境があります。通院が大変になる可能性もありますが、専門性の高い診療が期待できます。
大規模な総合病院の場合、予約が取りづらい面もありますが、最新の医療設備が揃っており、多くの専門診療科を有しているのが特徴です。要検査の原因が特定できれば、その後の円滑な治療につなげられます。
かかりつけ医
かかりつけ医を受診するメリットは、今までの健康状態を熟知した上で、適切なアドバイスを受けられる点にあります。かかりつけ医は長年の病歴を把握しているため、要検査の内容や対処法について、的確なアドバイスを出してくれるはずです。
ただし、病院の規模によっては精密検査をおこなう設備がない場合があり、検査機関を別途紹介される可能性があります。
また、かかりつけ医が健康診断の結果を把握していない場合は、説明に手間取る可能性もあります。事前に結果を共有しておけば、検査が円滑に進むでしょう。
かかりつけ医を受診することで、精神的な不安を和らげられるメリットもあります。健康上の問題は不安を伴うものですが、顔なじみの医師からアドバイスを受けることで、落ち着いて対処できるでしょう。
健康診断で要検査と言われたら何科へ行くべき?
健康診断で要検査といわれて病院を探す場合、何科にかかるべきかという点も把握する必要がありますよね。
健康診断で要検査と指摘された場合、受診する診療科は異常値の内容によって異なります。代表的な異常値と対応する科を確認しましょう。
- 胸部X線検査で陰影がある場合:呼吸器内科
- 便潜血検査で陽性の場合:消化器内科
- 肝機能検査値の異常がある場合:消化器内科・肝臓内科
- 腎機能検査値の異常がある場合:腎臓内科・泌尿器科
- 糖尿病検査で異常がある場合:糖尿病内科・内分泌内科
このように、健康診断で発見された異常値の原因となる臓器や疾患に対応する診療科を受診することになります。一方で、総合健診で複数の異常値が見られた場合は、総合診療科や人間ドックを専門とするクリニックを受診することをおすすめします。
異常値の内容が分からない場合は、健診実施機関に相談するか、受診予定の病院へ診療科の選定を仰ぐのが賢明でしょう。診療科を適切に選んで早期に受診し、原因の特定と治療につなげることが何より大切です。
一般的に、疾患の原因究明や治療の観点から、専門外来を受診する方がよいでしょう。がんや生活習慣病など、専門性の高い疾患については、専門医に相談することで、適切な診断と治療が期待できるためです。
健康診断の要検査はいつまでに受診すべき?
健康診断で要検査と指摘されたら、医療機関を受診する必要があり、検査結果の異常値の内容によっては早急な対応が求められる場合もあります。
一般的に、どれくらいの期間で受診すべきかについて解説します。
3ヶ月後または6ヶ月後の受診が目安
健診結果の判定で「要再検査」や「要精密検査」と指摘された場合、3ヶ月後または6ヶ月後の受診が目安です。この期間内であれば、病状の進行は穏やかで、早期発見・早期治療がしやすい状況と考えられています。
がんをはじめとする重大な疾患では、発見が遅れれば治療が難しくなる可能性が高まります。早く受診すれば病変の拡大を食い止めることができ、治療後の経過にも好影響を与えるとされています。
また、生活習慣病においても、この期間内であれば病状はさほど進行しておらず、生活習慣の改善など比較的簡易な対策での改善が望めます。それ以上遅れると、重症化して合併症のリスクが高まるため、早期の受診が賢明な選択となります。
緊急性の高い異常値の場合
一方、健診結果の中には、すぐに受診を要する緊急性の高い異常値も存在します。例えば、採血検査で腎不全の疑いがある場合や、画像診断でがんが強く疑われる場合などが該当します。
このような緊急を要する場合には、健診機関から「2週間以内の受診」を指示されることがあります。異常値によっては即日の受診を求められる可能性もあり、遅滞なく対応する必要があります。
重症化リスクが高い異常値については、医療機関との早急な連携が欠かせません。速やかな受診により、適切な検査と治療を受けられるようにしましょう。
特に悪性腫瘍が疑われる場合は、早期発見・早期治療が極めて重要です。がんの進行が遅ければ、根治療法の選択肢が広がります。一方で、放置すれば、転移などでステージが進行し、治療が困難になる可能性が高まります。
健康診断の再検査・精密検査にかかる費用
健康診断で要検査となった際、再検査や精密検査にどの程度の費用がかかるのか気になるところです。検査の種類によって金額は大きく変わりますが、目安としては以下のとおりです。
- 血液検査:2,500円~3,000円
- 尿検査:1,000円~2,000円
- MRI検査:5,000円~20,000円
- CT検査:5,000円~10,000円
- 超音波検査:1,000円~3,000円
- 心電図:400円~1,000円
基本的に人間ドックや健康診断は保険適用外ですが、再検査や精密検査は一般的に保険が適用されます。
医療費が高額になる場合、その一部が助成される高額療養費制度を利用できます。医療機関で支払った自己負担額が一定額を超えた場合、申請することにより超過分が還付されます。
また、会社員の場合は治療と仕事の両立支援に関する制度の利用も検討しましょう。傷病手当金の給付や、短時間勤務への切り替え、傷病休暇の取得といった制度があり、経済的・体力的な負担を軽減できます。
まとめ
健康診断で要検査と指摘されたら、放置せず、速やかな対応が求められます。再検査と精密検査の違いを理解し、自身の異常値に応じて、受診する病院や診療科を適切に選びましょう。
3ヶ月後または6ヶ月後の受診が目安ですが、異常値の緊急性によっては早期の受診が必要となります。病状の進行を食い止めるためにもできるだけ早めに対応するようにしましょう。
また、検査には一定の費用がかかるため、医療費への備えも重要です。事前に健康保険の給付内容や、会社の支援制度を確認しておくことをおすすめします。高額な費用が発生した場合の対策を立てて、経済的な心配を払拭しましょう。
健康診断で異常値が見つかった際は、再度の受診のタイミングを逃さず、しっかりと検査を進めていくことが大切です。そうすれば、早期発見・早期治療につながり、重症化を防げる可能性が高まるはずです。要検査の診断を受けた際は、健康に対する不安を解消するためにも、適切に対応しましょう。