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末期がん(転移がん)治療に有効な放射線治療システム「免疫放射線療法」について

がん治療の最先端医療では、日進月歩の技術革新により進化を遂げています。

その中でいま、放射線によって自身の免疫を活性化させて、全身に転移したがんを縮小・消失させる最先端医療「免疫放射線療法」が、末期がん(転移がん)の治療に効果的とされ、注目を集めています。

今回は、この免疫放射線療法を国内で実践している数少ないクリニックのひとつ、宇都宮セントラルクリニックの理事・佐藤俊彦先生にお話を伺います。

免疫放射線療法とは

――本日は、がん治療に効果的とされている最先端医療「免疫放射線療法」について、お話を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

佐藤俊彦先生(以下、佐藤) はい。よろしくお願いいたします。

  免疫放射線療法に精通する佐藤医師

――さっそくですが、免疫放射線療法とは、どのようながん治療なのか教えてください。

佐藤 いままでの末期がん(転移がん)は、がんが全身に転移しているため、局所治療、手術、放射線といった治療の効果に期待が持てず、化学療法による抗がん剤治療で余命を過ごすことになる患者さんがほとんどでした。

ですがいま、同じような末期がんの患者さんの治療に最先端医療の「免疫放射線療法」が効果的だということが認知されてきて注目を集めるようになっています。 現在、私ども宇都宮セントラルクリニックでは、放射線治療センターを建設して国内でいち早く免疫放射線療法を取り入れ、末期がん(転移がん)の治療にあたっています。

それでは、免疫放射線療法をご説明していきましょう。

免疫放射線療法は、がん細胞に放射線を照射することで免疫を活性化させて、免疫の働きによって全身のがんを治療する「アブスコパル効果」を利用したがん治療法です。

がん細胞に放射線を照射すると組織が壊れます。組織が壊れると同時にがんの遺伝子も破壊されて、短くなった新しい遺伝子からタンパク質が新たに放出されます。これを「ネオアンチゲン」といいます。 ネオアンチゲンとは、がん細胞で発生する遺伝子異常によって生み出されるがん抗原のことです。がんの抗体と戦う免疫細胞のリンパ球は、このネオアンチゲンを目印にしてがんを攻撃するのです。

この放出されたネオアンチゲンは、リンパ節の中で抗原提示細胞に取り込まれます。その後、抗原提示細胞がネオアンチゲンのがん情報を基にT細胞を教育するんです。 そして、原発巣の情報を学んだT細胞が全身をめぐり転移がんに到達して、がんを小さくしたり消してくれます。 これら一連の仕組みをアブスコパル効果と言います。(図1)

免疫放射線療法が注目を集めるきっかけとなったのは、近年、放射線と免疫チェックポイント阻害剤(※3)を組み合わせることで、より高い確率でこのアブスコパル効果を発揮することがわかってきたからなのです。

 
アブスコパル効果のイメージ

(図1)アブスコパル効果の説明図

※2 アブスコパル効果:がん細胞に放射線を照射されると、照射されたがん細胞が死滅し、そこから免疫の刺激作用があるタンパクやがん抗原などが放射される。その物質をマクロファージや樹状細胞が吸収し、腫瘍を特異的に攻撃する細胞障害性Tリンパ球を活性化させることで、沿革部位の腫瘍も攻撃・治療する。

※3 免疫チェックポイント阻害剤:がん細胞が免疫から生き延びようとする力を阻害して、免疫のがん細胞を攻撃する力を維持する薬。

免疫放射線療法が注目されるようになった背景

――免疫放射線治療が注目されるようになった背景を教えてください。

佐藤 免疫放射線療法を最も実施している、アメリカの「MDアンダーソンがんセンター」のJemes Welsh医師による免疫放射線療法の論文が発表されたのが注目されるきっかけですね。

その論文でWelsh医師は、原発巣が大腸がんの患者さんの肺転移、肝転移に対して、サイバーナイフ(※4)で肝臓だけに放射線を照射しています。 ですが9ヵ月後には、照射していない肺のがんが縮小し、ほかの患部によっては消失するという効果が実証できたのです。(図2)

 
Jemes Welsh医師による免疫放射線療法の論文

(図2)Jemes Welsh医師による免疫放射線療法の論文

出典:journal of immunotherapy of cancer Volume 7,Article number: 237(2019)

これにより、がんの転移があったら、放射線治療と免疫治療を組み合わせた方が、抗がん剤治療よりも高い確率で治る時代がきたのです。

※4 サイバーナイフ:放射線をがんにピンポイントで照射する医療機器。詳しくは下記ページをご参照ください。

関連記事:がん放射線治療の最新機器・サイバーナイフの効果とは?

日本国内で「免疫放射線療法」をあまり聞かない理由

――素晴らしい治療法ですが、日本国内で「免疫放射線療法」をあまり聞き慣れないのは、なぜでしょうか?

佐藤 残念ながら、日本国内では免疫放射線療法はまだあまり知られていませんね。免疫放射線療法では、放射線治療と免疫治療の綿密な連携が必要とされます。放射線治療と免疫治療双方に明るい先生が、なかなかおられないのが原因ではないかと思います。

免疫放射線療法が他のがん治療と異なる点

――免疫放射線療法が他のがん治療と異なる点はなんでしょうか?

佐藤 免疫放射線療法がもっとも異なる点は、治療抵抗性のある患者さんに有効な点ですね。 これは免疫治療による前立腺がんの患者さんの症例ですが、長期にわたって化学療法とホルモン療法を行っていましたが、結局全身転移してしまったんです。つまり抗がん剤もホルモン剤も効かない状態になっていたのです。

そこで免疫放射線療法を1回行っただけで全身の転移がんが消失してるんですよ。つまり、免疫を動かすことが、がん治療において非常に大きなポイントなんです。

さらにチェックポイント阻害剤である「オプジーボ」、「キイトルーダ」などと組み合わせることで、非常に効果的に免疫力を高めることがわかってきました。

また免疫放射線療法で治った患者さんというのは、がんの再発率がとても低いのも特徴です。免疫放射線療法は、免疫の働きによるがん治療です。免疫の中には「メモリー細胞」というがん(抗原)の免疫を記憶している細胞があって、この働きによってがんの再発を防いでくれるのです。

  免疫放射線療法に精通する佐藤医師

免疫放射線療法の治療の流れ

――免疫放射線療法の実際の治療の流れを教えてください。

佐藤 免疫放射線治療を行う前に、患者さんの遺伝子を調べて分子標的薬(※5)を選びます。

分子標的薬を服用することで、がんを小さくします。腫瘍が小さいほうが放射線を安全に照射できるんですね。 そして、がんに放射線を照射したのちに免疫治療を始めるというのが、免疫放射線療法の一連の流れになります。

※5 分子標的薬:病気の原因になっているタンパク質などの特定の分子にだけ作用するように設計された治療薬のこと。

 

――免疫放射線療法の効果が期待できるがんに種類はあるのでしょうか

佐藤 すべてのがんに効果が期待できます。

免疫放射線療法の症例・効果・副作用

――免疫放射線療法のほかの症例を教えてください。

佐藤 57歳女性で大腸がんの患者さんの手術をしたのですが、骨盤に複数の骨転移が認められました。骨盤以外の骨にもリンパ節にもがんが転移している状態でした。 そこで免疫放射線療法を試みました。サイバーナイフで1回だけ骨盤の患部に放射線を照射したところ、7ヵ月後に骨転移やリンパ節の転移が全部消えました。

また、別の症例として去勢抵抗性前立腺がんでの治療例があります。肺転移があったこの患者さんは、手術による対処は意味がなく抗がん剤治療しか手段がないと診断されていましたが、当院にて局所の前立腺癌への放射線治療を行った後に免疫治療を実施しました。その結果肺の転移が完全消失し、PSAという腫瘍マーカーの値も良化しました。(図3)

免疫放射線療法の症例

(図3)免疫放射線療法の症例

――免疫放射線療法で効果が現れる期間に個人差があるのでしょうか?

佐藤 はい。効果が現れる期間には個人差がありますね。免疫に働きかける治療なので、最低3ヵ月はかかると思っていいでしょう。

 

――免疫放射線療法に副作用はあるのでしょうか?

佐藤 免疫治療で免疫反応が強く出てしまうことがありますが、めったにないことです。

 

――免疫放射線療法とがんの標準療法との併用は可能なのでしょうか?

佐藤 はい。可能です。化学療法を行ってがんを小さくする、あるいは化学療法が効かなくなったので、免疫放射線治療に切り替えるというケースがありますね。

 

――自身の治療に免疫放射線療法を取り入れたいと思われた患者様は、どのようにすればいいのでしょうか?

佐藤 一度、私共にご相談ください。現在、私共は都内の免疫クリニックと連携することで、免疫放射線療法を実践しております。私たちが放射線治療を行ったのち、免疫クリニックにて免疫治療を開始するという治療を実現しています。 これまで末期がんの患者さんには、ホスピスに入るという選択肢しかありませんでしたが、これからは免疫放射線治療を試すという新しい選択肢があると思います。

免疫放射線療法(Immuno-Radiotherapy)についてより詳しくご説明している資料がありますので、ご参考になさってください。

関連資料:放射線治療システムの革新的な進化 Immuno-Radiotherapyへの当院の取り組み

 

――本日は、貴重なお話を伺わせていただき、ありがとうございました。

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